浪速商業初登板

 

_____________1月20日____________

午前中の授業が終わり長村と伊達は昼食を食べようとしていた。
「おい、伊達、さっきから何やってんだ?」
「えっ?ああ、ちょっと弁当を忘れたみたいなんで財布捜してたんだよ」
「そうか、じゃあ先に食べてていいか?」
「ああ、俺もすぐ帰ると思うし」
そういうと伊達は教室の外に出て行った。
「さて、俺は食べるかな」
長村が食べようとしたとき
「長村、誰か呼んでるぞ」
「えっ、すぐに行く」
「ん、どうしたんだ青川」
「い、いや、実はね弁当忘れちゃって・・・」
「忘れた?じゃあ、買いに行けばいいんじゃ」
「そ、それがね、財布も忘れちゃったんで少し借りようかなって」
「財布を忘れた?仕方ない、ほら」
長村は財布から数百円を渡し青川は礼を言ってから走っていった。
「さて、これで食べれるな」
長村が机に座ろうとしたとき
「長村、ちょっと」
松山が呼んだので立ち上がると松山は
「す、すまん、俺、今日、弁当と財布忘れちゃって、だからちょっと貸してくれないかなって」
「今日二人目か、仕方ない」
長村は金を渡すと机上の弁当を食べようとして思った。
「まてよ・・・・・流れから考えると」
長村の行ったとおりだった。その後、橋元が来てまた金を渡した。
「おい、長村、もう弁当食っちまったぞ」
伊達が喋りかけたが長村は
「だ、伊達」
「なんだ?」
「帰りのバス代ねぇ」
「ま、まじかよ、じゃあ今日は歩き?」
「そうみたいだ」
長村は結局、歩いて帰った。

______________翌日_____________

「なあ、今日は妙に練習機材が少ない気がするんだが」
「なあ、その前に大町、何やってんだ」
「なにって、ダンベル持ち上げてるだけだぞ」
「片手にダンベル3つも紐と言うかロープ?で吊って持ってるんだ。10キロだぞそれ」
「まあ、それくらい持っておかなきゃ」
「その発想が怖いよ。まあ、確かに少ないよな」
そう喋っていると外に車の止まる音が聞こえた。なんだなんだと車のほうを見るとどこかの野球部員らしい人が出てきた。
「おい、あれって・・・・・浪速大だよな」
「そうだよな、でも私立だからな。国立のほうじゃねぇぞ。それに附属だ」
驚いていると山井監督がグラウンドに出てきて
「いやぁ、すまん、昨日言うはずだったんだが、今日練習試合組んだんだ」
「!?」
「まあ、そう、気にしないでくれ、じゃあ先発メンバーを発表する

1番 3 大倉
2番 7 井田
3番 5 大町
4番 4 吉原
5番 9 福山
6番 2 松山
7番 6 重川
8番 1 長村
9番 8 越川

以上だ。じゃ、頑張れ、そうそう、この練習試合は後々・・・おっと、これ以上は言えないな」
「「「「げっ、まさか」」」」
全部員が思ったであろう。夏の大会の基準にするのか、と。


挨拶が終わると長村がマウンドに上がる。実に摂津大附属ー浪速商業戦以来の登板である。長村はマウンドを少し確かめると松山がやってきた。
「相手は去年、ベスト4の浪速一だ。それも強力打線でねじ伏せてきた。どういう攻め方をする?」
「お前のサインに任せるよ」
「そうか、じゃあわかった」
松山が守備位置に戻る。そして久々のマウンドには摂津大附属のユニフォームではない両方に浪速、帽子には「浪」とかかれた浪速商業のユニフォームを着ている。そして

「プレイボール!」
審判が言うと長村は豪快でボールが見にくいフォームからボールを投げた。
「シュッーーーーーズバーン」
「ストライーク!」
「は、速すぎだ・・・・・」
今まで叫んでいた浪速一ベンチが静まり返った。1番打者は真剣ではなかったが驚いている。
「ビシュッーーーーーーバン」
「ストライーッ!」
2球連続ストレート、しかし、まだ反応すらできてない。
「な、長村って・・・こんなに速かったけ?」
「さ・・・・・さあ」
これには浪速商業ベンチも驚いている。
「シュッーーーーーーークククッ」
「ブン」
外した球に振った1番打者は少しショックを受けてベンチに帰って行った。
さらに2番、3番打者も連続三振。それもスライダーとフォークを使わずに、ストレートとカーブだけど三振を取った。
「よくやった、とりあえず伊達にも7回から投げさせるからそれまで、思いっきり投げて来い」
山井監督がベンチから出て長村を迎え入れるほどだった。

さて、長村はまだ、どれだけ三振を奪えるのか。それ以前にどれだけヒットを打たれるのか

 

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