力の差

 

新入生の分裂でおこった紅白戦、それも推薦ー一般との対決、審判以外の上級生は観戦できそうなところからグラウンドを眺めている。1回表、推薦の攻撃からか、長村は古びたベンチに原田さんと越川、伊達と座っている。
「原田さん」
「なんだ?」
「推薦ってどの範囲から選ばれているんですか?」
「さあ、俺は普通に入部したから推薦のことは分からないが多分、近畿で逸材を探しているだろう。しかしなんだ?そんなことを聞いて?」
「いや、ちょっといろいろありまして、推薦の1番は・・・・・奈良の根田!?」
「え、あの奈良の根田か」
「ええ、奈良の地区大会、驚異的な足の速さで名門を驚かせた根田です」
「じゃあ、一般の先発は・・・ああ、堺学院の市原か、あいつも結構いい球を投げるだろ」

「スゥゥーーーー・・・バシッ!」
「ストライーッ!」
市原の球は明らかに甘かった、内角高め、それも緩いカーブで入って行った、作戦なのかそれとも、推薦側が見下しているのか、それは分からない、キャッチャーはどこかで見たことが ・・・
「シュゥゥーーーー・・・・・・ククッ」
「キンッ」
根田が三塁方向へ流した!サードが追うがボールはきれずに一塁もセーフ、いきなり出塁か・・・
推薦の2番は倉根、あまり名前は・・・聞かないな。
「シュゥゥーーーーー」
「カキンッ!」
倉根は強引というか思いっきり左方向へ引っ張った。打球は三遊間を抜ける。ノーアウト1、2塁か厳しいな。
3番の安部は結構有名だ。軟式で6割近い打率を残しており本塁打通算38本、推薦には申し分ない数字だ。
「シュッーーーーースゥ」
「カキン!」
安部の打球はまたも三遊間を襲う!今度はショート寄り、抜けるか・・・・いや、唐澤が取った!唐澤が三塁へ送球、アウト!さらに二塁もアウト!そして1塁へ・・・・微妙だがアウト!見事のトリプルプレー!皆が唐澤に駆け寄り握手を交わす。その中には・・・!?あいつは・・・・

その頃、推薦側は
「チッ!なんて奴だ。たかが一般ごときにトリプルだと!」
「仕方ない、九条、力の差を見せてやれ」
「あたりめぇだ!」

その頃、一般側は
「唐澤、凄いな、あんな強肩だなんて!」
「全くだ!凄い、凄い!」
「まあまあ、し合いは始まったばっかだ、気を抜かずに行ってくれ」
「よっしゃあ、俺が1番にいったる!」
そういうと打席に向かった選手を送り出した。唐沢がベンチに座るとさっきの小柄な男が
「あんさん、凄いでっせ、あれだけの肩を持ってんやから推薦でも十分や、わいなんて及びまへん」
「いやいや、君の実力も分からないときからは決めれないよ、そういえば名前は?」
「矢田といいまんねん」
「矢田君か、俺は・・・」
「唐澤はんでしょ、うちの兄貴から聞いてますからわかってんねん」
「ストライーッ!バッターアウッ!チェンジ!」
「えっ、チェンジ?そんな馬鹿な・・・」
唐澤たちベンチは総立ちになった。推薦組がゆうゆうと引き上げてゆく姿を目の当たりにした。先発九条、一体どんな投手なんだ・・・

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