第三十四話 やっと出ました、アレですよ

 

俺「あーあ・・・ついに8回突入か・・・」
斉藤君「さて、守備に行くぞ。」
俺「今まで両校ノーヒット・・・互角だな。」
仙田監督「それはどうかな?」
俺「監督・・・どういうことですか?」
仙田監督「お前、スタミナないだろ。」
俺「はい。」
俺はいつもランニング、途中でばててしまうのだ。完走はできているが、スタミナ切れでいつも最下位だ。
仙田監督「あの練習さえ続けてればスタミナはつくはずなのになぁ。ま、とにかく9回で終わらせないとやばいぞ。」
俺「はい。あ、俺守備行きます。」
あの練習とは原板練習のことだ。原板先輩が野球部卒業してからも一応続けているのだが・・・あ、「スタミナないのに何で先発なんだ?」と不思議に思うかもしれないけど気にせずに。

「ビュッ!」
「ククッ!!!」
「カスッ・・・」
「バシッ」
「ビュッ!」
審判「アウトー」
今5番の選手をゴロで打ち取ったところだ。
俺「そろそろスタミナ切れてきたぞ。」
俺は次の選手もフライで打ち取った。問題は次の打者だった。
アナウンス「7番、レフト、香山君」
「ビュッ!!!」
「ククッ!」
香山「くっ・・・」
「キーン!!!」
しまった!カーブをジャストミートされてしまった。打球はのびて行った・・・センターが追いかける。しかしセンターがあきらめた・・・ホームラン。
実況「おっと!八方高校、ようやく1点を入れました。」
俺「し、しまった・・・」
8番バッターは三振にとったものの、ついに1対0とされてしまった。

俺「はぁ。入れられちゃったよ。」
斉藤君「大丈夫だって。」
アナウンス「9番ファースト三浦君」
俺「思ったんだけど・・・9番にファーストっておかしくないですか?」
仙田監督「そんなことはない。」
「ビュッ!」
「キーン!」
ああ・・・ショートライナーだ。しかしショートが悪送球。エラーで走者が出た。
アナウンス「1番、ショート、峯川君」
俺「走者が出たか・・・」
峯川「先輩、気をおとさんでください。ワイが逆転してやりますわ。」
俺「うん、たのんだよ・・・」
そういわれても本当に逆転するかどうかは・・・
「カッキーーーン!!!」
峯川はなんと本当に逆転してしまった。ホームランだ。推定飛距離は153メートル。
峯川「153メートル・・・まあまあですかな・・・」
俺「お、お前ってすごいなぁ。」
峯川「そ、それほどでも〜」
逆転してからはヒットも出ず2対1。さてあとは俺が抑えるだけか。

「ビュッ!」
「バスッ」
審判「フォアボール!」
こ、これはやばいぞ。ツーアウトランナー1塁2塁。ヒットが一本、フォアボールがひとつだ。スタミナ切れだな。キャッチャー青木が寄ってきた。
青木「大丈夫か?」
俺「うん、なんとか・・・」
青木「あと一人抑えれば甲子園出場。頑張って!」
俺「うん。ま、俺に任せとけって。」
と言ったものの、抑える自信はなかった。しかも相手は緒方。最悪だな。
俺「大丈夫だろうか・・・」
まずは1球目、ぎりぎりいっぱいストライク。1球投げるごとに疲れが襲ってくる。なんとか抑えなければ。2球目、スライダー見逃し。さて、あと1球だ。
小山田「ふふ・・・緒方が本気になるのはこれからさ。」
そのとき緒方の目つきが変わった。
小山田「緒方の得意技は相手投手の投球を見抜くこと。変化球を投げようと思えばフォームは少しでも変わる。それを見抜くことが緒方はできるのさ。」
俺は最後にストレートを選んだ。俺がボールを投げた。
緒方(あれはストレートだ・・・もらった!)
俺だってストレートを投げたつもりだったさ。
仙田監督「あっ・・・!?」
小山田「あの球は!?」
占「ま、まさか!?」
斉藤君「間違いない!?」
緒方「な、なんなんだ!この球は!?」
川崎「き、きた!?・・・」
峯川「これが・・・」
俺の投げた球は不規則にジグザグに曲がった。そう・・・あの球だ!
峯川「これが・・・カワサキボール!!!」

 

 

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