ファイナルファンタジーZ(PS)

 

このコンテンツで初めて、パワプロ以外のゲームレビューを書く。
ただ、このゲームに関するレビュー、批評の類はネット上でも腐るほど多く公開されている。
そういうわけで、今さらこれを書く意味は余りないのだが……まあ気休めと言うことで(?)
また、すでにこのゲームをクリアした人を対象に書き進めていこうと思う。
ネタバレなどへの配慮は一切ないが、ご了承願いたい。

 

1、幻想のおもちゃ箱

 

自分が本格的にプレイしたことのあるFFシリーズの作品は、5,7,8,9だけだ。
その中でも、世界設定はこの7のものが一番好きだ。
特にオールドファンを中心に、この7の世界設定に対して「『ファンタジー色』が薄く、もはやFFではない」という批判が向けられているのをよく目にする。
先述の通り昔のFFをほとんどプレイしていないので詳しい事はわからないが、確かにそうなのかもしれない。
しかしそれでも、自分はこの7の世界設定が大好きだ。
いろいろと考えてみたのだが、その第一の理由はやはり圧倒的な多様性だと思う。

この作品のオープニングは、スラム街を舞台として始まる。どこまでも薄暗く、煤けていて、様々なものが渾然一体となる中で、人々が生活するスラム街。
その後、今度は近代的な高層ビルへと舞台は移る。一転して、証明に照らされた冷たいフィールドを主人公たちは進むことになる。
そして主人公たちはビルから逃走し、高速道路を疾走、ボスとの戦闘を経たあと、一気に外の世界に飛び出していく。
この時プレイヤーは、強烈な開放感を覚えることになると思う。
さらに世界を探索していくうちに、中世のヨーロッパ都市風の町「カーム」、軍事都市「ジュノン」、観光の町「コスタデソル」、廃坑の町からを経てきらびやかなテーマパーク「ゴールドソーサー」へ……と、舞台はめまぐるしく変わっていく。その他にも、東洋風の町や、崖の洞窟に建設された町、北国でロッジが立ち並ぶ町などなど、実に多様なマップが用意されている。

このように、7の世界は探索するプレイヤーを飽きさせない。
次に進めば、いったいどんな町が待ち受けているのだろう。そう期待させる力が、7の世界設定には確かにある。

ところで、「ファンタジー」とは「幻想」という意味だ。現実から遊離した、空想の世界である。
FF7は、時間や空間を越えた舞台が世界全体にちりばめられている。
幻想の世界でなければ、絶対にあり得ない光景だ。
そういうわけで、中世ヨーロッパごろの時代を想定し、その雰囲気だけで構成された世界よりも、実は7の世界観のほうが言葉通りの意味での「ファンタジー感」は強いのではないか、と自分は思うのである。

 

2、名場面より抜粋

 

ストーリーといっても、詳細の紹介はすでに様々なレビューでなされている。ここでは何点か、自分の心に残った場面を上げていこう。


・ティファとエアリスの初対面


何か気まずい、でもつとめて和やかに振舞いたい、そういう微妙な感情が伝わってくるシーン。

・ニブルヘイムの回想

神羅ビルで見たジェノバもエグかったが、このシーンで出てきた「魔光モンスター」はもっとグロテスク。
魔光エネルギー(今考えると、原子力を意識している気がする)の照射によって焼けただれた皮膚に包まれた人間が、苦痛と憎悪に満ちた表情を浮かべ、湯気と共に転げ出てくる………夜中に見なくて本当によかった。
PSになって進化したムービーシーンがうまく生かされている場面のひとつだと思う。

・ユフィを仲間にするために……

はっきり言って、攻略チャートなしでやっているとキレそうになる。何度やっても逃げられてしまう。
でも、一度は逃げられてみたほうがいいと思う。このイベントに、ユフィというキャラクターの多くがつめられていると思うので。

・クラウドの苦悩

物語の中盤を支配するテーマ。「記憶は全て嘘だった」、「実は作られた人間」……超メジャータイトルのFFに、このシリーズに今まで全くなかった展開を持ち込んだ決断力はすごい。

・ルクレツィア

セフィロス、ヴィンセント、宝条の過去、そしてジェノバ計画の真実が明らかになるイベント。
発動条件は結構複雑だが、FF7のストーリーを楽しむ上で、多少時間をかけても絶対に見ておくべきイベントの一つだ。
ところで、宝条は「実験」と称して実はヤりたかっただけ……いえ、なんでもないです。忘れてください。
そんなんで世界崩壊の危機が起こされたんならたまったもんじゃない。

・宝条とヴィンセントの邂逅

物語終盤の、マッドサイエンティスト宝条との最終対決。
この時の戦闘パーティーには、絶対にヴィンセントを入れたほうがいいと思う。
ヴィンセントが言い放った、「眠らなければなかったのは……お前だ」は自分の中で一番心に残っているセリフの一つ。

 

3、やりこみ心を刺激するシステム

 

様々なところで絶賛されているマテリアシステム。これは自分も、すごいシステムだと思う。
とにかくバリエーションが半端ではない。RPGの愛好者が持っている「やりこみ」を楽しむ心(この有無で、RPGの好き嫌いが分かれると思う)を素晴らしく満たしてくれるシステムだ。

ただ、ただである。

実際のところ、そうしたマテリアシステムをフルに活用する必要はない。
戦闘が簡単なのだ。とにかく、終盤になると、主人公達があまりにも強すぎるのである。特にクラウドの最終リミット技「超究武神覇斬」や召喚魔法の「ナイツオブラウンド」などは、ゲームバランスを粉々にぶち壊すほどの強力さだ。
残念ながら、このバランスミスがFF7から一部のFFファンの心を遠ざけてしまっている。

しかし、基本的に根気のない自分にとっては、むしろレベル上げの煩雑さが省かれて助かった。それに、異常に強力な技でラスボスを旬殺していく快感も、自分にとってはプラスの要素だった。
でもせっかく主人公たちを過剰に強化するシステムがあるんだから、5の神竜、オメガ並みに強い隠しボスが用意されていてもよかったと思う。

 

4、ああ、古き時代のMIDI

 

曲はいいと思う。
特にメインフィールドのテーマは、あらゆるゲーム音楽の中で自分が最も好きな曲のひとつだ。
でも、一つ声を大にして言いたい。
音がショボいのである。
PSもまだそこまで発達してなかった頃の作品なので仕方ないかもしれないが、あのやる気のない音源にイメージを潰されてしまった曲は多いはずだ。
例えば自分は始め、「エアリスのテーマ」が名曲だとは思えなかった。
あちこちで賞賛されているのを見ても、ただただ首をかしげるだけだった。
ところが、オーケストラバージョンを一度耳にしてから考えは180度変わった。確かにすごい。
そして、改めてもう一度ゲームのほうを聞いてみて……自分の疑問の原因が明らかになったのである。
二回目になるが声をさらに大にして言おう。
音源がショボい!

以上です。ありがとうございました

 

5、頑張りすぎのおまけ要素

 

FF7の顕著な特徴となっているのが、ミニゲームの豊富さである。これは、FF7以降のRPGの傾向を確実に変えた要素だと思う。
ここでも何点かのゲームを取り上げて書いていこう。

・チョコボ育成

ワールドマップを駆け回った後、チョコボファーム→ゴールドソーサーの往復を何度もしないといけないため非常に時間のかかるミニゲーム。
しかしその代償は大きい。先述のナイツオブラウンドを始め、様々な強力マテリアを入手できるからだ。
が、基本的にはやはり「やりこみ心」を満たすためのゲームであるといっていいだろう。

・スノーボード

とにかく疾走感がすごい。ドリフトが気持ちいい。ジャンプが爽快。
ただのミニゲームにしては出来すぎだ。
このミニゲームをやりこむだけでも、結構な時間を潰せることだろう。

・コンドルフォート

何とこれは戦闘シュミレーション。
本格的とはいえないが、それでもRPGのミニゲームにしては作り込みすぎである。
しかもストーリーにきちんと絡んでくる。
本当に、FF7を作ったスタッフは高い進取の気性を持っていたんだと思う。


その他にも、ゲームの各場面に様々な遊び心が盛り込まれている。
これも、硬派なオールドファンには抵抗のある要素のようだが、ゲームはエンターテイメントである。楽しければ、それに越した事はない、と自分は思う。

 

6、ラストシーンについての見解

 

この作品のエンディングは、最終的になんと500年後まで進んでしまう。
その、一見早急な展開に対しての批判意見を、よく見かける気がする。
「本当に気になるのはキャラクターたちのその後だ」とか、「物語をきちんと終わらせていない」だとか……

しかしこれらの批判は、自分にとっては非常にナンセンスに思える。
余韻を残す終わり方、受け手に想像を委ねるラスト、これは昔から物語において何度も何度も使用され、成功している手法だし、FF7においても十分に成功を収めていると思う。

つまるところ、この作品のテーマは「星の命」なのだと思う。
それが500年後まできちんと存続している、と提示して物語を解決するラストシーン。
本当に星が生き残ったどうかなんていうのは、せめてそれぐらいの年月を経ないと判断できないだろう。
そういう意味で、FF7のラストシーンは実に親切で、なおかつ想像の余地を残してくれる終わり方だと思う。

これを「唐突で意味がよく分からない」と批判する人というのは、何でもかんでも与えられないと気がすまない、自分で何かを考えるのは面倒くさい、そういう極めて受動的な感性を持ってしまっているのではないか?……少し荒れてしまいました。すいません。

 

7、その他

 

昔の作品ということで、今の目で見るとやはり技術面では物足りないところが多い。
例えば先述のサウンドであるとか、粗くてカクカクのポリゴンであるとか……ぜひ、PS次世代機(PS3?)でリメイクしてみて欲しいと思う。

 

そういうわけで、評価。

 

総合評価・・・(12):PSの、いや日本のRPGの金字塔。未プレイの方はぜひ一度プレイすべし。下手な新作に手を出すより面白いだろう。

個人的評価・・・(14):いろいろと粗い部分はあるものの、年代とやりこみ要素の多さを考慮すればむしろクオリティは非常に高いと言える。

 

04.1.20記述

記述者:管理人

 

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