実況パワフルプロ野球10(PS10)
大人気の「パワプロ」シリーズもついに二桁10作目(実際はもう少し出ているが)。
「やっぱりプロ野球ゲームNO.1!」がスローガン。
1、ネゴシエーター inパワプロ
今回のサクセスモードはプロ野球編。
ただし「パワプロ7」のように既存球団が舞台ではなく、新設された四球団と言う設定だ。
・・・もしかするとこの設定には、球団数縮小、一リーグ制への反対という製作者の意図が込められているのだろうか・・・・・・
ということを語りだすと、どんどん本筋から離れてしまうので先に進みます。
舞台となる四つの球団を、個々に紹介していこう。
・頑張パワフルズ
つーか頑張市ってなんだ!?
もはや定番となった、サクセスを初めて経験する方でも易しくクリアできる「パワフル系」のチーム・・・・・・ではない。
パワフルズは経営難に陥っている弱小チームで、サクセス三年目には球団消滅の危機に瀕してしまう。
そこで主人公は、チームを優勝に導き球団を守らなければいけない。
まるで某ゲームの二作目(って言ってもこの作品と同系列なんですが)のような設定だ。
この「優勝に導き」というところが、慣れないうちは非常に難しい。
リーグ最終戦で惜しくも負けてしまい、二位になったとしても・・・球団がなくなってしまう可能性がある(なくならない場合もある)。
二位ですよ、二位。前年までBクラスにあえいでいたチームですよ。
めちゃめちゃ来季に期待できそうですやん。もう一度だけチャンスをくださいよ、オーナーさん。
などとわめいても、ゼニのことしか考えない上層部は一方的に球団消滅を決めてしまうのである。
熱いファンの方々による抗議デモが起こったり、メガネの選手会長が颯爽と現れてくれたりはしないのである。
なんとも寂しいチーム、なんとも寂しい野球界だ。
そしてゲームオーバー。数時間かけて育成してきた選手は削除。
いままでの「パワフル系」チームからは想像だにできないシビアさだ。
このシビアさに負けて、パワプロ発売から数ヶ月立っているのにまだ一人の選手もできていない、という友人がいた。
・・・笑ってはいけない。「リーグ優勝なんて余裕じゃん、ははは」と笑っているあなたは、確実にパワプロという1ゲームに精神を冒されている。あきらめてください。
このように、非常にクリア条件が厳しいパワフルズなのだが、その分見返りも、いままでの「パワフル系」とは比べ物にならないほど大きい。
そのハイリターンを支えているのが、今回大幅に強化された継承キャラシステムだ。
継承キャラシステムとは、ここまで育成を終了した選手(クリアしててもしてなくても)が、一人のキャラクターとして再登場する、というシステム。
前作から導入されたシステムなのだが、前作はある特定のチームで登場するだけで、あまり恩恵のないシステムだった。
うまくやれば恩恵は大きいらしいのだが・・・その分不断の努力が必要で、とても素人が手を出せるものではなかった。
今作では、すべてのチームで登場し、しかも継承キャラと友情タッグを組むことができる。ここが大きなポイントだ。
友情タッグで得られる経験点は、デフォルトキャラとのそれより少ないが、それでも育成の大きな助けとなる。
そしてパワフルズでは、この継承キャラが四人も登場するのである(普通のチームは一人)。
つまり、あらゆる友情タッグをやり放題の状況まで持っていけるのが、このパワフルズというチームなのだ。
このように難しくなった分、最強選手を作れる可能性も備わっているパワフルズ。
しかし実は、自分はこのチームではあんまりプレイしていない。
継承キャラを調整するのがめんどくさいからだ。そんなんばっかしやがな自分・・・
・○○キャットハンズ
これも経営難に陥った弱小チーム。その経営の不健全さはパワフルズよりさらにひどい。
だが、パワフルズと違って、このキャットハンズではプレイヤーが球団消滅を食い止めることができる。
それが、交渉システムだ。
交渉システムとは、主人公自身がネゴシエーターとなり、新たにオーナーとなってくれそうな会社と交渉を行うという、これまたシュールなシステムだ。
優良企業と契約できれば練習レベルは上がるし、劣悪企業(って言っていいのか・・・?)と契約してしまえば練習レベルはあまりあがらない、または下がる。
さらに、どことも契約できないと球団が消滅してしまう危険性がある。
このように交渉の成否いかんによって選手育成の成否が決まってしまうのが、このキャットハンズなのだ。
交渉の方法は、「おだてる」「泣き落とす」「ものでつる」(要するにワイロ)「強気」などのコマンドが出現し、三回それを選択して相手の心象を良くすれば成功、という感じ。
賛否両論あるだろうが、自分はこのシステムにハマりこんだ。
ただ闇雲にコマンドを選んでも成功する確率は低い。
相手の表情を読んで(眉毛が太い、目がつり目、など)、膨大なデータ(ファミ通の小冊子)と経験を参照しながら、慎重に三つのコマンドを選択していく。
緻密に進めていって、完璧に心象をよくしたと思っても、時にはなぜか契約できないことがある。
手に汗握る緊張感と、絶妙に絡んだランダム要素が織り成すミッション、それが交渉システムだ(言い過ぎ・・・?)。
例として、その一場面を紹介しよう。
相手の顔は下がり目、下がり眉毛、そして口調は語尾が間延びしている。おそらく相手のタイプは「泣き虫」。
この「泣き虫」が経営する企業はAランクのミゾットスポーツ。契約すれば飛躍的に練習レベルが上がる。
絶対に、失敗できない。
データ集に目を向ける。いや、目を向けずとも、大体は記憶しているのだが。
まずはコマンド「泣き落とし」。
よし、まずまずのようだ
二番手は「おだてる」。
うん、感触はまあまあ。
そして最後の三番目のコマンド。
ここが一番重要である。高感度の上下が一番大きいターン。
最後の切り札、「ものでつる」にカーソルを合わせ、○ボタンを押し込む。
パワプロ君が「黄金のお菓子」(ここで出てくるのは、本当に「お菓子」なんです。一種のネタですね。といっても、パワプロの対象年齢を考えるとこのネタが分からない人が多いような気が・・・)を、オーナー候補のおっさんに手渡す。
これで、契約は手中にしたようなものだ。
そして画面に、運命のテキストが表示される。
『ぱくっ・・・ん、これは!?賞味期限が切れてるじゃないかっ!?』
アホかぁっ!!
・・・と、モニターの前で叫んでも、時すでに遅し。
かくして契約は破綻し、何とか球団消滅は免れるものの、オンボロ工業(なんちゅー企業や・・・)との契約を余儀なくされるのである。
練習レベルは激減し、育成計画は破壊される。
そして男は、おもむろにリセットボタンへと手を伸ばすのであった・・・(実際は、「あきらめる」コマンドですが)
ま、こういうリスクを背負いつつ育成を進めていくのがキャットハンズと言うチームなんです。
さらにこのリスクに加えて、監督の特別強化練習という悪魔のランダム要素も加わってくるため、パワプロ10において一番リスキーなチームがここであることはまず間違いないだろう。
ちなみにこのチームは、あおいとみずきのダブル女性投手が所属するチームなので、投手が非常に作りやすい。
というか自分はほとんどの投手をここで作った。
そういう意味でも、このチームは自分の好きなチームである。
・猪狩カイザース
これも定番、「あかつき系」のチーム。
いつものごとく「昇格試験」が存在し、プレイヤーの腕が問われるチーム。
まあ説明はそれぐらいでいいでしょう。前の二つと比べてボリュームの差が激しいですが気にせずに。
このチームで一番自分の印象に残っているのが、「精神バグ」だ。
バグ技なので詳しい説明は省くが(パワプロ攻略サイトなどを検索すればすぐ見つかります)、とにかくこの技によって通常考えられないような怪物投手ができるのである。
自分はあまりそういう技は好きではないので一人しか作っていないのだが(もちろんアレンジの自分のチームには入れていない)、こういうバグ技もまあ、自分としてはご愛嬌だと思う。
ちなみにこの舞台で初めて本格的に、次のパワプロ11でメインキャラとなる友沢が登場。
しかしこのキャラは、猪狩守がいてこそ際立ってくると思うのだが・・・
・極悪久やんきーズ
このチームの特徴は、番長、おなじみ阿畑さん、鷹野、半田と登場する個性的なキャラクターたちだ、と自分は思う。
一応「借りる」システムというこのチーム固有のシステムはあるものの、あまりにも利用価値が低く、自分も使わなかったので省略。
とにかくキャラクターの印象は、このチームが自分の中で一番深い。
特に半田のダイエットイベントは本当に衝撃的だった。こんなんアリかよ、と。
しかもただのイベントではなく、それは野手育成において非常に大きな意味を持ってくるのである。
キャラクターは個性満点だが、育成システムは至って普通。
ここでのクリアは一番らくだと自分は思う。
いままでより多くの分量の記事を書いたのを見ても分かるとおり、自分は10のサクセスが非常に好きだ。
舞台ごとの独自性、計画要素とランダム要素のバランス、出来る選手の能力の具合、などを考慮して、非常にうまくまとまったサクセスモードだと思う。
・R指定……?(彼女システム)
シリーズが進むにつれ、きわどい描写が所々に現れている彼女関係だが、この10でも非常に危険なセリフが用意されている。
主人公と空(彼女候補の一人)は、2年目のクリスマスに別れてしまう。フライトアテンダントである空が海外で働きたいと言い出し、その決心をさせるために、主人公は少し手荒いやり方で身を引く。
そして3年目。プロには残留できたがいまひとつ意気消沈とする主人公の前に、突然空が帰ってくる。
感動の再開を果たしめでたしめでたし、となるのだが……その場面より引用。
抱擁する(といっても二等身キャラの距離が近づくだけだが)シーンのあと、突然二人の姿が画面から消える。
おそらくどこかに消えていった、という演出なのだろう。
しばらくして二人は姿を現し、この会話。
空:「疲れたね」
主人公:「久しぶりだったからね」
いくらなんでもこれはダメでしょ。コナミさん。
なんで「ダメなのか」という質問は掲示板にて受け付けます。
……いや、やっぱり自分が困るのでやめてください(ぉ
2、「飼い殺し」からの逃避〜ある選手の一生〜
パワプロ10から新しく加わったモードの一つに、「マイライフ」モードというのがある。
一人の野球選手となって、ひたすら試合をこなしながらその人生を体験していく、というモードだ。
ペナントレース中のイベントがかなり少ないため、前作の「ホームラン君」のような単調作業の影が垣間見えるが、バリエーションは「ホームラン君」よりずっと多い。
自分はこのモードを、「高卒ドラフト5位でG球団に入団」という、明らかに飼い殺されそうな設定でプレイした。
初期能力は確かFDFFG。
COMレベルは「ふつう」に設定したので、ほとんど打ちっぱなしで試合は進んでいった。
そして一軍にらくらく昇格し、活躍に応じて能力もどんどん上がっていった。
・・・ただし、それは特殊能力だけ。基本能力が全く上がらないのだ。
ミート、パワーはかろうじて、本当に徐々にあがっていったが、走、肩、守は全く成長の気配すら見せない。
しかもポジションは外野で、セリーグだったので起用する場所が限定され、6割を越す打率を残しているのに使ってもらえないことが多々あった。
まあG球団で、打撃だけの選手が簡単に切り捨てられることは珍しくないっすよね(いや、たぶん他の球団でもこういう現象が起きるはずなのだが)
こういうところも含め、まだまだいたるところでゲームバランスは悪い。
でも、一人の選手の生活を一日単位で克明に追っていくという発想はかなり面白いものだと思う。
次作にも登場するこのモードの出現は、パワプロ史上に名を残す変革と言ってもいいだろう。
3、迫り来る恐怖
もう一つパワプロ10で新しく導入されたモードが、「対決!伝説選手」だ (ただしパワプロ11には登場してないのでこの作品限定かもしれない)。
これは往年の名選手と対決し、勝てばその選手を使えるようになる、というモード。
いままでOB選手を獲得する方法は、ホームラン競争でひたすら多くのホームランを打つことだった。
非常に機械的な作業だった「OB選手獲得」を、この「対決!伝説選手」が一気にエキサイティングなものにしてくれた。
なにがすごいかって、OB選手の偉大さを体感させてくれるんですよ。このモードは。
神様仏様稲尾様の威圧感。
オリエンタルエクスプレス郭泰源のスピード感。
怪力ブライアントの迫力。
「オレ流」三冠王落合の打撃技術。
こういった球史に残る名選手たちのオーラが、「ここで負ければOB選手がゲットできない」という緊張感のもと、ひしひしと伝わってくる。
特に自分の印象に残っているのは、85年阪神猛虎打線(正式には新ダイナマイト打線。だが自分はこの呼び方があまり好きでない)だ。
真弓、北村、岡田、掛布、バース、佐野、平田、木戸と連綿と続くこの打線に、自分は何回もやられた。とにかく抑えても抑えても強打者が出てくる。クリアしたときには、自分の肩に疲れが一気に降りかかって来たのを覚えている。
ゲームですらこれほど疲れるのだ。現実に1985年、あの打線と対戦した投手たちは生きた心地がしなかっただろう・・・・・・と、その当時の球界さえもリアルに想像させてくれるのモードが、この「対決!伝説選手」なのだ。
ぜひ次作の12では、復活を希望したい。
4、その他
もっと基本的なところで、このパワプロ10からの新要素が導入された。
それは、一方向二球種(たとえばスライダーとカットボールの投げ分けが出来たりする)の実現だ。
いろんなところで、パワプロユーザーが導入を要望していた要素である。
実現して当然と言えば当然なのだが、しかしいままでなかなか導入されなかった。
ただ、これによって投球の幅が大きく広がったかというと・・・意外とそうでもなかった。
まあでも、要望が反映されることはいいことだ。
そういうわけで、評価。
総合評価・・・A(14):試合のバランス、サクセス、新要素などあらゆる面で優れている。自分の中ではパワプロ最高傑作。
個人的評価・・・A(14):キャットハンズでのサクセスには非常に楽しませてもらいました。
04.12.5記述
記述者:管理人
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