輝く世界

 

 透けるように青い空を少しずつ雲が覆い始め、鮮烈な太陽の照射もわずかながら収まってきた。

 ここで藤谷さんは、後ろを振り返ってタイムを取り、土方さんの下に駆け寄る。

 走りながら、藤谷さんはグラウンド全体に指示を送った。すると、ナインもマウンドへと駆け出した。

 藤谷さんがこうして全員集合をかける事はごく珍しい。いや、試合においてはおそらく初めてではないだろうか。

 土方さんが少し訝しげな表情を見せていると、それを見抜いたのか藤谷さんは、

「個人的に確認したいことが一つあって。それと、島田君が何か、こっちに来たそうな顔をしていたので」

「……昭が?」

 藤谷さんの目はいつも的確だ。予言したとおりに、島田さんがセンターから猛スピードで走ってきた。

「啓!今のファインプレー見てたか!」

「……ああ。最高だったな」

 島田さんは少し照れて帽子を深めにかぶり、

「いやまあ、打球が上がった瞬間から、これは取れると思ってたけどな」

「……嘘だな。寝転びながら、自分でも何が起こったかわからない、って顔してただろ」

 二人のランナーを背負った同点の九回裏。

 この上なく追い詰められた場面のはずなのに、二人は急に和やかな雰囲気を出して軽快なやり取りを交わした。

 そうしているうちに、グラウンド上の九人全ての選手達が、マウンドに肩を並べていた。

「あれだ、万が一これから打たれても、センターに飛べば俺がああやって取るからさ、心配するな」

 そう言った島田さんの声に、いつもの軽薄な調子はなかった。自分を見上げる、身長は20cm以上も低いはずの島田さんが、なぜかっこの時は大きく見え、土方さんは妙な安心感を覚えた。

「……ああ。わかった」

「いやいや、島田さんじゃ危ないですって!さっきのだって正味まぐれでしょ!」

 急にそんな茶々を入れたのは、ショートの新月だった。当然のごとく、島田さんは猫の目のような速さで形相を変え、新月に食ってかかる。

「な、何!?この野朗!お前だって……!」

「だからショートに飛ばしてくださいよ。絶対止めますから」

「いや、新月はエラーするからやめとけ」

 と、これまたからかうような調子で言ったのはライトの角屋さん。

「お、俺は守備には自信あるんで、飛ばすなら俺のほうへ!」

 と、セカンドの刈田。

「先輩ほどの自信はないですけど、俺の所でも全然大丈夫ですよ」

 と、サードの金田。

「まあ、俺にも任せろ」

 と、落ち着いたトーンのレフト中津川さん。

「あ、ついでに俺の方にも飛ばしてください」

 と、すでに発言の趣旨が違ってしまっているファースト具志堅。

「僕も、ファールフライなら飛び込んででも取りますから、どんどん飛ばしてください」

 と、キャッチャーの藤谷さんまでもが便乗して、土方さんに謎の要求を提示した。

 土方さんは仲間たちの顔を見渡して、肩をすくめた。

「……そんなにあちこち飛ばしたら、何点取られるかわからないぞ」

 苦笑いを浮かべてたしなめながらも、土方さんはこの八人の仲間たちから、何ともいえない心の温かみを受けていた。

 やっぱり、こいつらと野球をやっていてよかった。

 俺はあの世界を抜け出し、ここに戻ってきた。冷笑と暴力に満たされ、何もかもがザラついている暗闇に、出口をふさがれていたあの頃。

 このグラウンドとは正反対の世界だった。日の光が全てを照らし、そばには共に戦う、そこにある現実と向き合って戦い続ける仲間がいるこの世界とは……

「取られてもいいじゃん、何点でも」

 突然、島田さんがまたもやよく分からない事を言い始めた。

「……いや、さすがにまずいだろ。九回だぞ?」

「大丈夫だって。仮に八人全員にボールが回ってきて、そうだな、七点ぐらい取られたとしても、次の回で俺らが八点取ればそれで勝ちだ」

「……ずいぶん、無茶なことを言うな」

「無茶じゃないって。なんせ、次の回は俺から打線が始まるんだからな。俺がいきなり一発かまして、あとはやり放題。これで八点ぐらいは十分堅いだろ」

 島田さんの様子には、またいつものように「根拠のない自信」が戻ってきていた。だが土方さんは不思議と、いつも感じる呆れよりも、むしろ信頼感を抱き始めた自分に、少し驚いていた。

「まあ、あれだ。とにかく、俺とその他の面々が次の回にひっくり返してやるからさ。お前はいつもみたいに、全力で投げ続けろよ」

 島田さんは土方さんの左肩に手を伸ばし、二、三度軽く叩いた。

「……そうだな。ありがとう。……で、そういえば藤谷」

「はい?」

「……確認したいことって、なんだ?」

「今、島田君が全部言ってくれました」

 藤谷さんもまた、土方さんの右肩に手を伸ばした。

「延長戦のことなんか考えずに、ただ力の限り投げてください、ってことです。今は正念場ですから。それに……次の回は、僕が打線をつなぐんですから」

 藤谷さんは笑って、島田さんと顔を見合わせた。

 そして二人で土方さんを再び見上げ、

「任せろよ」

 と声をそろえた。

 タイムの時間が少し長引いていた。審判の軽い注意を受け、バタ西ナインはそれぞれの持ち場に、威勢よく散っていった。

 

 

 

 結局、白球はどの七人の手にも収められることはなかった。

 ナインへの信頼感。これがここまで大きな力を、自分に与えてくれるとは。

 土方さんはその事実に驚きつつ、ただがむしゃらに、全ての球に自分の全てを賭けて、左腕を振り続けた。

 そして最後のバッターも、

「シャァァーー・・・・・・・・ドンッ!」

「ブンッ」

「ストライーッ!バラーアウッ!チェンジ!」

 渾身のストレートで三振に切って取った。

 九回の表が終わった。スコアは1−1。

 土方さんはマウンドを降りた途端、肩と指が抜けるような感覚に襲われた。

 おそらく、かなり腕に来ているのだろう。春の甲子園でも露呈された、肩自体のスタミナ不足。

 しかし土方さんに不安はなかった。

 仲間達が、次の回で勝利をもぎ取ってくれる。

 揺るぎない信頼が、土方さんの体を力強くベンチに運んでいった。

 

 

 

 打席へ向かう準備を済ませ、ベンチを出ようとしたとき、藤谷さんの横からマネージャーの水本沙織が声をかけた。

「藤谷さん」

「はい。なんでしょう」

「弓射投手の動きのクセに仮説を立てました」

「え、本当ですか!?」

 沙織は独特の口調で報告したが、藤谷さんはすぐにその意味するところを理解した。

「あくまでも傍観から割り出した推測ですが。弓射投手はフォークを投げるとき……」

 沙織は謙虚に、しかし確かな自身を持って「仮説」を披露し始めた。

 その一言一言を、藤谷さんはうなずきながら聞いていった。そしてグラウンドで投球練習をする弓射に目を向け、二球の動きを確認すると、藤谷さんは声を上げた。

「確かにそうですね!その通りです!沙織さん、よく気づきましたね」

「いえ、傍から見てるだけの人のほうが、意外とわかりやすいものですから……」

 沙織はうつむきながら、次第に口ごもっていった。

「いやいや、僕がベンチで一試合見てたとしても、見つけられるかどうかはわかりませんよ。でもおかしいですね。僕が観察していたときには、そんな動きはなかったのですが……」

「おそらく、疲労がたまるにつれて直していたはずの癖が出てきたんでしょう」

「なるほど。ともあれ、素晴らしい発見です。これで攻略の糸口が見つかりました」

 歓喜をあらわにして、藤谷さんはベンチを素早く飛び出していった。

 そして、左打席に入ろうとする島田さんを引き止め、耳元でその仮説をささやいた。

 

 

 

 島田さんはクラウチングの構えを取りつつ、マウンド上の弓射をなめ回すように観察した。

 サインを覗き込む顔は紅潮し、肩は何となくダランと下がっている。おそらく、ここに来て本格的に、気合で押さえつけていた疲労感が弓射の全身を襲っているのだろう。

 こうして打席に立っているだけでも、暑さに焼かれて倒れそうになるほどなのだ。あれだけ雄たけびを上げてここまで投げ続けた弓射に、疲れを見せるなという方が土台無理な話だ。

「うっし」

 弓射は体を起こし、軽く声を発して気合を入れるが、明らかにその勢いは落ちている。

 こうした相手の力の低下だけではなく、こちらにもあの「仮説」がある。

 間違いなく打てる、と島田さんは強い確証をもった。

 弓射が胸の前にグラブを持ってくる。

 あの動きは……

「シューーーー・・・・・・・・・・」

 ストレート!

「……っしゃあっ!」

「カキンッ」

 振り切ったバットが、快音を立てて白球を弾き返す。

 打球は内野を優に越え、中堅手の定位置も越えていく。

 その辺りで少し失速し、ホームランにはなりそうになかったが、それでも距離は伸びていく。

 島田さんが全速力でより先の塁を目指す。

 二塁を回りかけたとき、中堅手はフェンスに跳ね返ったボールを処理し、二塁の方を向いて送球しようとしていた。

 島田さんはそれを見て足を止める。

 ノーアウト、ランナー二塁。

 島田さんはベンチに向かって大きく拳を振り上げ、ネクストバッターズサークルの藤谷さんに「仮説」の正解を告げるサインを送った。

 藤谷さんはそれを受けると、これまた確証を持って右打席へと入っていった。

 

 弓射が、セットポジションから第一球目を投げる。この球は……

「うらあっ」

「シューーーー・・・・・・・・・・・・バンッ」

「ストライッ!」

 ピンチになると、こうやって叫び声を上げ、打者を圧倒しにかかる。

 だが、すでに「仮説」を「法則」に変えていた藤谷さんは、まったく動じなかった。

 意気を高揚して球威を増そうとするのはいいが、肝心のフォームの方にガタが来てしまっている。

 もはや、恐れるものは何もない。

 藤谷さんは一つの球種に狙いを絞っていた。

 ここまでバタ西打線を苦しめてきたボール。

 弓射が足を上げ、第二球目を投げ込んでくるが……

「シューーーーーー・・・・」

 おそらく、これではない。

「・・・クッ・・・・・バンッ!」

 外角にスライダーが外れてボール。

 この予測には法則を用いたわけではなく、藤谷さん自身の分析が元となっていた。

 そしてそれが正しければ、おそらく次に狙い球を投げてくるはずだ。

 弓射が、サインを確認して、グラブを胸の前に持ってきた。

 分析と法則が、一致した。

 弓射が右腕を振り下ろす。

「シューーーーーー・・・・・・・・」

 そしてここからの……

「スッ」

 落ち際を叩く。

「キンッ」

 スイングをわずかに腰でため、藤谷さんはフォークを流し打った。

 思っていたよりもフォークは落ち、少し芯が外れてしまった。

 だが打球のコースは一、二塁間。

 通常、右打者を相手にするとき、二塁手は二塁ベースの方に寄るため、一、二塁間は広く開いている。

 この場面も例外ではなかった。

 打球は転々と一、二塁間を抜け、ライト前に……

 しかし突然、走る藤谷さんの視界に、二塁手が飛び込んできた。

 必死に伸ばしたそのグラブに……球が吸い込まれる。

 二塁手は時間を惜しんで、横たわりながら一塁へ送球した。

 藤谷さんは慌てて加速を強めたが、間に合わなかった。

「アウトッ!」

 一塁塁審が、親指を立てた右手を勢いよく振り抜く。

 一方、二塁ランナーの島田さんは三塁に余裕を持って到達していた。

 1アウト、ランナー三塁。決める事はできなかったが、藤谷さんのセカンドゴロは進塁打となった。

 そして一打サヨナラのこの場面で打席に立つのは、三番ピッチャーの土方さん。

 バットを軽く振りながら左打席に入ると、ここでマウンド上の弓射がタイムを要求した。

 同時に、付属沢見のベンチも動く。この試合初めての伝令を、マウンドに出したのだ。

 

 

「俺は、降りひんぞ」

 伝令が着くなり、弓射は鋭く見下ろして告げた。

 どうしようもない全身の重さを、弓射はひしひしと感じていた。自分の限界がもうすぐそこまで来ていることも、弓射にはわかっていた。

 だが、こんな中途半端な場面でマウンドを後にしたくはない。あの屈辱の敗戦から一年間、弓射はただこの対戦の再来を願い、青春の全てを賭けて練習を積み重ねてきた。だからこそ、この好機を、最後まで全うしたい。

 弓射の中で、暑さと疲れに組み伏せられそうになっていた闘志が今、最後の閃光を放ちつつあった。

「今のところは、大丈夫です」

 下級生と思われるその伝令が、静かに監督からの指令を伝える。

「『この回がお前の最後のマウンドだ。それを意識して投げろ』とのことです」

「そうか。最後か……」

 どちらにせよ、この試合を最後まで投げきる事は出来ない。

 弓射はいったん唇をかみながら視線を下ろしたが、すぐに顔を上げて、そばにいた捕手に頼んだ。

「柿ノ木。これからのバッター、全部三球勝負でいかしてくれんか?」

「でも、危ないぞ?」

「ええんや。正直、俺も相当やばくなってきてる。だから、下手に球数稼ぐよりも、ズバンと勝負した方がええ思うんや」

「……後悔しないか?」

「当たり前や。任せとけ!」

 弓射は迷いのない声で宣言した。

 伝令はベンチへ帰っていき、試合は再開する。

 

 土方さんは、弓射が投げる前にもう一度「法則」を頭の中で繰り返した。

 その内容とはこういうものだ。

 弓射が投げる前、胸の前に持ってきたグラブが、チーム名のロゴより上にあるならストレート、下にあるなら変化球。

 実に単純な法則だ。そしてピッチャーにとっては致命的な悪癖だ。だから、弓射は練習のときにそれを矯正していたはずなのだが……疲れと共に、直したはずの悪癖がまた現れてきたらしい。

 マウンド上の弓射がセットポジションの構えを取る。

 グラブの位置は、ロゴより下。という事は、初球は変化球。おそらく、スライダーだろう。

 土方さんは狙い球をひとつに決め、弓射の投球を待つ。

「うらあっ!」

「シューーーー・・・・・・・」

 しかしここで投じられたのは、見まごうことなく直球だった。

「・・・・・バンッ」

「ストライッ!」

 予想を外した土方さんは、身動き一つ取れない。

 おかしい。何か、見間違えたのか?

 依然として弓射の投球テンポは早い。素早くサインを確認し、グラブを胸の前に置く。

 またも、ロゴより下にグラブがある。今度こそ変化球だろう。空振りを取りに来るフォークか。

 ここでも土方さんは球種を絞り、バットを立て気味に構えた。

 弓射が右腕を雄たけびと共に振り下ろす。

「シューーーー・・・・・・・・・・・・バンッ」

「ストライッ!」

 再び、ストレート。

 やはりおかしい。もしかしたら、ロゴより下がストレートで、ロゴより上が変化球だったか。

 思考の間も与えない早さで、弓射は胸の前にグラブを置く。

 またしても、その位置はロゴより下。

 土方さんはひどく混乱してしまった。もはや法則を当てにはできない。

「シューーーー・・・・・・・・」

 とりあえず、来た球を振るしかない。

 そう決めて出したバットは、

「スッ」

「ブンッ」

「ストライーッ!バッターアウッ!」

 遥か下を通り抜けるボールに、全く軌道を合わせられなかった。

 三球三振。2アウト、ランナー三塁。

 左打席を出てから、土方さんは四番の角屋さんを呼び寄せた。

「どうした?」

「……法則が崩れた。もう、グラブの位置で球種は判断できない」

 だが角屋さんは、それを聞いても意外なほど落ち着きはらっていた。

「そうか。まあ、これだけ苦しめられてきた相手だ。そんなパズルみたいな仕掛けで、簡単に崩せるわけがないよな」

「……じゃあ、どうするんだ?」

「打つさ。打つしかないだろ。大丈夫だ。俺が決めてやる」

 そう答える角屋さんの笑顔を見て、土方さんは再び確信を抱いた。

 こいつに任せておけば、心配ない。

 そして角屋さんは堂々とした歩みで、右打席へと向かっていった。

 

 

 角屋さんは決めていた。打つのは、初球だ、と。

 下手に考えてしまうと、自分の中で燃え盛っている闘魂が徐々に沈んでしまう気がする。だから、決めるなら一発目だ。

 そのためにも、「法則」が当てはまらなくなった事は、逆によかったのかもしれない。

 角屋さんはオープンスタンスの構えを取り、弓射の目を見据えて対峙する。

 弓射も鋭い視線を返し、胸の前にグラブを上げる。その位置は……この際どうでもいい。

 弓射が振りかぶった。この場面で、ランナーーが動く必要性はないからだ。

 左足を引き、ワインドアップで力をため、グラブを下ろし、足を上げて力を増幅させる。

 体を少し沈め、腕を引いていく。

 角屋さんはほんの少しだけ身を乗り出した。

 弓射が右腕からボールへ、全ての力を伝えて放出する。

 好球、

「シューーーー・・・・・・・・」

 必打!

「カキンッ!」

 低めのストレートを、角屋さんはセンター方向に弾き飛ばした。

 打球の行方を追って、弓射が体を反転させる。

 ショートが外野へ向かって走る。

 三塁ランナーの島田さんもホームへ向かって走る。

 

 

 低く鋭く飛んだ打球は内野グラウンドを超え、そして、落ちた。

 

 その瞬間、川端西高校の選手たちは、裏返りそうな声を上げて歓喜した。

 

 南海大学付属沢見1−2x川端西

 

 川端西高校はこの瞬間、去年に続く新島県予選決勝進出を決めた。

 

 太陽は少しずつ、少しずつ西に傾き始めていたが、それでもまだ、まばゆい光を全く弱めていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 試合後の新陽球場の廊下。

 県大会も準決勝まで来ると、新聞を初めとした取材陣の姿が多くなってくる。

 一番多くの記者に囲まれているのは、一被打点で見事な完投を見せた土方さんだった。

 だが土方さんは、この状況を素直に受け入れられていなかった。

「いやー、素晴らしいピッチングでしたね」

 メモを持った一人の記者が、上ずった調子で質問し始める。

「……ありがとうございます。ですが、今日の勝利はチームメイトたちのおかげです」

「おお、なかなか謙虚ですね。しかしやはり……」

「……いえ、謙遜ではなくて、本当にそうなんです」

 土方さんは記者の言葉をさえぎった。

「……今日はチームの仲間全員に支えられて、九回を投げきることが出来ました。今日の完投は自分の力ではなかった、と言っても過言ではないと思います。ですから……」

 そう話しているうちに、土方さんは記者たちの顔が何となく気まずそうになっていることに気づいた。

 こういう頑なな態度を取られては、記事にしにくいのかもしれない。

 だが、それでもかまわないと土方さんは思った。

 記者たちはそれでも、何とか土方さんを唯一のヒーローに仕立て上げようと、様々な質問を繰り出してきた。

 土方さんはその一つ一つに、仲間たちへの最大の感謝を持って、丁寧な答えを返していった。

 

 

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