やっぱりお前か、プロ級

 

____________8月14日_____________

この日、新たな部員が入るという知らせを聞きグランドには寮から出てもいい自由行動の日にもかかわらず全部員が集まって雑談をしていた。

「何でまたこんな時期に新入部員が来るんですか」
松山が聞くと隣に居た山田さんが
「ああ、何でもそいつの居た高校の野球部が廃部したので摂津大附属に来ることになったらしい。でも、あの厄介の規定があるからなぁ、情報だと1年生だからたいしたことはないと思うが戦力になるなら損だなぁ、俺の兄貴もあの厄介な規定でしばらく出れなかったからなぁ」
「あの規定ですか」

ここで「あの規定」というのを説明しておきます。
あの規定というのは一度野球部に入部した生徒は他校の野球部に入部した場合、1年間公式戦に出場することが出来ないという規定だ。もちろん、連盟が特別に許可した場合は除くと言う規定だ。これが厄介で2年でセンバツが終わっていれば転校した次の高校で野球部に入っても公式戦には出場出来ないからだ。山田さんの兄さんもこの規定に引っかかったらしい。

「静かにしろ〜」
大野監督のでかい声がグランドに響いた。監督が静かになるのを確かめると奥から誰かが来た。噂の新入部員らしい。
「え〜今日から本校野球部に所属する鍋島亮(なべしま りょう)だ。連盟から許可を貰っているので1年間公式戦に出場できない規定はないから大丈夫だ」
「やっぱし鍋島か!」
長村は大きな声で言った。
「おお、長村か」
鍋島も大きな声で言った。
「なんだなんだ知り合いなのか?」
谷口さんが聞くと
「はい、小学生の頃は同じクラスであいつとは中学生のときに別々の中学に行きました。あっ、そうだ、鍋島、お前のあれを披露してくれよ」
長村が言うとグランドからは「何でもいいから披露してくれ」と言う声が上がった。鍋島は

「じゃ、じゃあ捕手の方座ってくれませんか?」
といい了承した。谷口さんがミットを持って構えると鍋島が振りかぶって投げた。

「スカッ・・・・スーッ・・・・・ストーン」

「「「「「「な、なんだあれ?」」」」」

「じゃ、次は少し違うのを」
鍋島はそういいまた振りかぶり

「シュバッ・・・スーッー・・・ストーン」

「「「「「すっげぇ!!」」」」」

「それじゃあこの辺で」
と言い鍋島は戻っていった。全員が驚くのも無理はない、信じられないほど落ちるのだから。誰もが高過ぎてボールだと判断しても低めギリギリでボールがミットに収まるのだから。

「プ、プロ即戦力級だ・・・」

谷口さんが呟き全員、まったく動けなかった。

 

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