紅白戦で

 

グランドはまだ凍りついた様な状態だった。長村の知り合い、鍋島の投げたプロ級、いや、プロ以上ともいえる落ちる球を見せ付けられたからだ。あれが高校生か?と言いたいだろう。

「あ、あれってなんだ?」
栗野が何かわからなかったのか聞いた。誰も答えられない。
長村はハッ、とした。小6の時、長村は鍋島と同じシニアにいてエースは長村だった。鍋島は2番手投手として支えてくれていたがいつかエースを奪うと言ったことがある。
当時、長村と鍋島の実力は、ほぼ互角だったが長村にはウイニングショットのカーブがあった。そのカーブがなければエースは奪われていたが昔覚えたカーブのおかげでエースになれた。ということはカーブに対抗できるなるべく覚えやすい変化球を鍋島は探し努力してあれを投げれたのでは。覚えやすくて落ちる球・・・・・
「わかった、わかったぞ!」
長村は大声で喜んだ。周りは不思議そうに長村を見ていた。栗野が
「わかったって・・・あの変化球か?」
「ああ、そうだ、あの変化球はフォークだ」
「フォーク?」
「ああ、間違いない。チェンジアップかと思ったがフォークだ」
「そ、そうか・・・・・」
わかったところで何もなかったがわからないよりはましだろうと長村は思った。

何かとわかると部員たちは気が楽ななったのか寮に戻り始めた。
長村は何か和歌わって楽になったがすぐにもうひとつ、気がついた。あのフォークにおれは対抗できるのか?いや、今は対抗できない。どうすればいいのか・・・


_____________8月16日____________

 

この日、摂津大附属メンバーで紅白戦をすることになった。赤組のメンバーはスタメン4人、ベンチ4人、先発、長村、白組もスタメン、ベンチ4人ずつで先発は鍋島ですることになった。

・・・
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長い試合が終わった。赤組が負けた。10ー0で5回コールド。長村は朝から少し熱があったがこれくらいならかまわないと言い登板して打たれた。鍋島はフォークを使い14奪三振。身内同士の紅白戦だが14三振は恐ろしい。1イニング3アウトでチェンジだから5回で15回アウトになる。最大15奪三振だから1回しか打球を上げたり転がせていないということだ。

「はぁ・・・・・」
「ま、そう気にするな。少し熱があったんだろう?それなら打たれてもおかしくない」
谷口さんが近くによって長村を励ました。長村は励まされたのか少しは気が楽になったようだ。


グランドのはるか向こうに一台のの車があった。高価そうな車には誰かが乗っていた。矢田は視力がとてもよく、車の中にいるのを見ていた。それは摂津大附属高校の理事長だった。

 

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