松山マニュアルの力

 

____________万博野球運動公園__________

「プレイボール!」
ついにはじまった浪速商ー大阪商陰の対決。先攻は浪速商業。

「頼むぞー越川!」
ベンチから越川への言葉が次々とグラウンドに届く。
「長村、あいつは誰だ?」
福山さんが聞いてきた。
「えっ、あいつ?ああ、背番号1の吉川ですか」
マウンドにいる大阪商陰先発・吉川のことを教えた。

「シュバッ」
「カキィン!」
越川の打球はレフト前に。出塁した。

「続け〜大倉」
吉原さんが言ったがサインはバント。大倉さんはバントのサインだけど。と思っているだろう。

大倉さんは打球を見事に殺しサードが処理。ワンアウトランナー2塁で福山さんを迎えた。

吉川なんと!ランナーがいるのにワインドアップ。これは驚いた。そしてその右腕から球が投じられた。もちろん、ランナーの越川は走った。

「バシッ」
「な、なんだこの速さ!」
なんとワインドアップから投じられた球の速さは・・・142km、しかしそれ以上の速さにしか見えない。

「バッシーン」
「くそっ」
福山さんはまた空振り。チーム1の安定した打撃を誇る福山さんが手も足も出ない。

「ズドーン」
「ストライクーック、バッターアウッ!」
福山さんが1球もかすらなかった。凄い・・・

その後、大町さんも空振り三振。なんてやつだ・・・・・

「頼むぞ、橋元」
「まあ、頑張ってはみます」
橋元は本を置きグラウンドに向かっていった。

「プレイ!」
先発は2年の大島さん。3番手投手だ。橋元のリードが鍵だ。
1番は右打ちだ。左の大島さんはどんな球を・・・
「ストライーッ!」
真ん中高め。いいコースを打てない?
「ットライーク、ツー!」
また高め。この配球でいいのか?

「キィイン!」
「あー出塁した」
ベンチの中はやっぱりだめかという声が聞こえた。
2番は左打者か、出塁させたくないところだが・・・・
しかしこれも出塁、ヤバイな・・・

ベンチがため息をついていると信じられない言葉が聞こえた。

「アウト、スリーアウトチェンジ」
「えっ、3アウト?」
ベンチへ次々と選手が戻る。長村が松山に聞いた。
「なんて書いたんだこの本に?」
「なんてって、ただ、ノーアウト1、2塁になったらしつこく牽制してバッターをイライラさせろ。その後、インハイ高めに危険球になりそうな球をほれ。危険球にはなるな。また、しつこく牽制してボールコースに投げろ。真ん中高めに投げるんだ。絶対に振るはずだ。振れば外角へのカーブでしとめろ。空振りしない程度で体制を崩させる。おそらくファーストライナーになると思うからゲッツーだ。上手くいけばトリプルだ。ゲッツーなら厳しいコースを徹底的に攻めろ。同じ手を使ってな」
松山の言葉に長村は驚いた。試合もしてないのにこれほど読めるのか、これが松山の頭脳か。

長村はこれが松山マニュアルの力か、驚き、9月の暑い日だというのに鳥肌が立った。

 

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