まさかの・・・

 

「カァン!」
5回裏、大阪商陰の攻撃は7番からの打順だが、先頭の7番が出塁した。しかし流れはまだこっちに向いている。大丈夫だ。よな・・・

「キィィィンッ!」
「「「「「う、嘘だろぉ〜!」」」」」
浪速商ベンチは総立ちになった。8番が打った打球はぐんぐん伸びていった。この時、誰もが入らないことを願った。しかし、願いは届かなかった。
「入った〜!」
大阪商陰ベンチからは聞きたくない言葉が聞こえた。「入った〜!」誰もが絶望のそこへ落とされた気分になった。

「アウト!」
「へっ?アウト?」
誰もが疑った。ホームをなんと踏み忘れたのだ。思ってもない幸運。まだ流れはこっちのものだ!
大島さんは少し不安定になり、2番打者まで回したが討ち取った。

「おっしゃあ!追加点とって勝つぞ!」
「「「「「はいっ!」」」」」
山井監督はそういって大町さんを送った。


大町さんに対し、大阪商陰がなんと!敬遠をした。一体何故・・・・・まさか吉原さんをなめているんじゃ?そうだとしたら許せない!長村は
「吉原さん、絶対打ってくださいよ!なめられてますから!」
「あたりまえだ、こんなになめられちゃあ絶対打ってやる!」
吉原さんは怒りながら左打席に向かった。

相手バッテリーは吉原さんに対して徹底的に外角攻めをした。しかも吉原さんの得意なコースばかり。吉原さんは冷静さをずいぶん失っていた。5球目、吉原さんの苦手な内角ぎりぎりに球を、しかもボール球。
冷静さを失っていた吉原さんは手を出しショートゴロ。ゲッツーでツーアウト、流れが変わってきた。
・・・

原田さんが三振して6回表終了。1-0でまだ勝っているな。

この回、大阪商陰はクリーンナップからの打順。3番は大島さんの外角への球をジャストミート。打球は伸びていき、スタンドに。同点だ・・・
4、5番も連続ヒット。無死1,2塁、不利になってきたな。ついにここで大阪商陰打線が火を吹いた。5者連続ヒットで5−1、逆転された・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・


そして9回表、吉川の前に封じられる浪速商打線、最後の打者は大倉さん。
「大倉ーっ!打てー!」
「大倉さん打ってくださいーっ!」
「打つんだーっ大倉!」
長村もベンチから叫んだ。最後のボールはミットの中へ・・・・・


浪速商業は決して弱くない。しかし、ベンチとの格差は大きい。今回の敗因はそれだろう。その頃、摂津大附属は順調に勝ち進んでいた。

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