指導

 

「それじゃあ、野手の人は市原さんと山下さんに指導を受けてもらってください。投手の人は祖父ちゃんと西村さんに、誰に指導を受けるかは好きな方で。これでいいですよね」
長村は普通に長村三十路らに話した。さすがにプロたちとは喋りなれているのか重苦しい口調ではない。
「ああ、それでいいとも」
「じゃあ、後は好きなように」
長村が行った途端、一斉に走って我先にと並んだ。長村は一番後ろに控えている。


「ほう、捕手に転向してからの悩みはボール1個分の出し入れか」
「はい、それがやりにくく、ずらせても取れないと言うのが悩みで」
24年前、球界一と言われた元キャッチャーの市原さんは松山の悩みを聞いていた。

市原さんは少し考えふと何かを思いついた。
「君、よく見ててくれ、長村君、ちょっと」
市原さんは長村を呼びつけると
「長村君、今投げれるかい?」
「大丈夫ですけど」
「じゃあ、マウンドへ」
長村がマウンドに向かうと市原さんは軍手を2枚かせねて左手にはめるとベースに座った。
「じゃあ、投げて」
長村は軍手で大丈夫かとおもいながら要求されたコースへ投げた。そして、今度はボール1個分左に動かして投げさせた。2球目を捕ると立ち上がって
「長村君、いつの間にかいい球を投げるようになったね。それじゃあ、本題だが松山君とかいったね」
「はい、そうですが」
「君は、とりあえず軍手でボールをとることが練習だ。あくまで仮説に過ぎないがミットでボール1個分の出し入れがやりにくくなったと思うんだ。なら、ミットをなくして捕ってみたらいい。もちろん、軟球だぞ」
「はい、わかりました。ご指導有難うございます」
「いやいや、これくらいならたいしたことだよ」



「で、ケガから復帰して得意ののスライダーが投げれんのやな」
「はい、そうです。肩のケガから復帰していざ、投球練習というときにはスライダーがケガ以前の変化を失っているんです」
伊達は長村三十路の指導を受けている。あの、日米野球でMBL(メジャーリグ)打線を手玉に取ったことで有名でスライダーに関しては知識が豊富だと思い指導を仰いだ。
「そうか、それは、多分、ケガ以前の感覚を失っているだけや。でも、無理したらあかんで、ゆっくり、ゆっくり、やっていくんや。じにき、感覚を戻すはずやから無理せんようにな」
「はあ、わかりました、有難うございます」
「伊達、どうだった?」
「まあ、結構分かったよ」
短い会話を終えると伊達は部室に入っていった。
・・・・・
・・・・・
・・・・・
・・・・・

「じゃあ、最後のやつもしどうが終わったみたいだからお礼を言って帰るか」
大町さんが言うとユニフォームを脱ぎ、普通の服装に着替えた部員たちが礼をいいながら帰った。

[感想は?」
長村が聞くと声をそろえて
「あれだけの逸材がそろっていりゃあ夏も夢じゃないよ」
「そうですか、有難うございます」
長村も礼を行って去って去っていった。

 

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