初日から分裂

 

_____________4月10日____________

「いや〜助かったな」
「何が助かったんですか?」
さっきから休憩を取っている福山さんに通りかかった松山が聞いた。
「何って、甲子園だよ」
「甲子園?春の選抜なら終わりましたよ」
「いや、大阪代表の摂津大附属が優勝しなくて良かったってな」
「まあ、そりゃそうですよね、予選大会から優勝校と当たったんじゃたまったもんじゃ・・・・・って、福山さん、いつまで休憩取ってんですか!」
「ああ、すまんすまん」
福山さんはそういいノックを受けに行った。交代のように長村がロードワークから帰ってきた。
「おっ、帰ってきたか」
「ああ、いや〜弁天町まで走ると疲れる」
「弁天町って・・・よく走ったな」
「ああ、ま、休憩しとくから」
長村はそういって休んだ。

____________4月11日_____________

野球部専用グラウンドはいつにも増して騒がしい。今日、入部の挨拶があるからだ。入部生たちが騒いでいる。
「はいはい、静かに」
大町さんが言うと火が消えたように静かになった。監督が出てきて入部生たちに向かって挨拶を始めた。
「え〜わしがここの監督をしている山井恭司だ。モットーは文武両道、勉強と野球を両立しろ、じゃあ、福山、挨拶を」
と言うと福山さんが
「一応、ここのキャプテンをしている福山正だ。とにかく実力を磨け」
「ちょっとちょっと、福山、挨拶短いだろ」
挨拶が終わった福山さんに対して大倉さんが尋ねた。
「しょうがないだろ、思い浮かばなかったんだから」
「挨拶くらいしっかりしろよ」
大倉さんが福山さんに言った。

監督の練習メニューを青川が発表しそれをこなす。既に10人がばてている。恐ろしい練習量だ。

「んっ、お前・・・・・一般入部だな」
「げ・・・推薦か」
「ははは、そうだよ」
「で、推薦がなんのようだ」
「いや、お前らは草むしりで3年間終わるって言いに来たんだよ」
「なんだと!お前なんて言った!」
「3年草むしりで終わるんだよ!」
すると一部の入部生が笑い出した。練習をしていた唐澤が出てきて
「推薦だからって凄いってわけじゃねぇ!」
「なんだと・・・なんていった」
「推薦だからってレギュラーどころかベンチすら入れないかもしれん!」
この言葉を後押しするかのように歓声が上がった。
すると小柄な男も出てきて
「推薦やからって凄いとは思いまへん、推薦なんて所詮、プライドの塊以外、何でもありまへんわ」
「なんだと、やるか!」
「ええで、やったりやおまへんか」
「全くだ」
野球部のグラウンドはかつてない事態に陥った。騒ぎを聞きつけた上級生と監督が来て
「やめんか!!そんなに決着をつけたいなら野球でやれ」
「えっ、監督それって・・・」
「新入生の紅白戦だ。紅が推薦、白が一般でやれ、福山、大町、吉原、大倉、お前らは審判をやれ」
「「「「は、はい!」」」」

30分後・・・
「プレイボーッ!」
主審の福山さんがいうと先攻の推薦の打者が打席に立った。
推薦ー一般の紅白戦が始まった。

 

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