まだ断ち切られていない

 

大阪は梅雨の時期は湿度がとにかく高い。夏は気温こそは沖縄のほうが高いが湿度が高いので大阪のほうが暑く感じる。今日も朝から湿度が70%を超えており汗をかいてしょうがない。軽く体を動かす朝練でも汗をかいている人が多い。長村は明後日が中間テストなので2時まで勉強をしていた。いつもならベンチで休むことはないが今日は30分近く休んでいる。大町さんが呼んだ。
「長村!」
「・・・・・」
「長村!」
「・・・・・」
「長村!!」
「・・・あ・・はい・・・・・」
「全く、何度呼ばせるんだ!何か悩みでもあるのか?」
「いや・・・・・す・・少し眠くて・・・・」
「おいおい、しかもどう考えても少し眠いじゃないぞ」
「いやぁ・・・・ちょっと勉強を・・・・・・・」
「まあいい、午後の練習までに目を覚ましておけ、それからもう練習は終わったぞ」
大町さんはそう告げると急ぎ足で校舎のほうへ走った。

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午後の練習は監督直々のノックと総合守備練習があるとの発表があった。監督の個人ノックは1人10球程度だが部員が70人近いのでこの程度、終わるとすぐに総合守備が待っている。

「何やってんだ!そこは、6,4、3だろ!」
何度も監督の怒号が飛ぶ。最近、ショートの原田さんがよく失敗する。いつもなら強肩を活かしているが最近、少し逃げ腰の守備と遅い送球が目立つ。一方、メンバーを入れ替えて守備練習をすると上手くいく。ショートに入った唐澤が強肩と足を活かして積極的なプレーをする。練習が終わると監督に原田さんが呼ばれた。

「原田」
「なんですか監督?」
「大会まで1ヶ月を切ったがなお前の調子を見るとな・・・」
「・・・・・」
原田さんは既に内容が何かがわかった。スタメン落ちを通告されると・・・
「スタメンから落ちてもらう」
「・・・・そうですか・・・」
「それだけだ・・・」
原田さんはそう聞くと少し肩を落として去っていった。

伊達は郡川と談笑しながら帰っていた。家が同じ方向なので一人では退屈だからといって伊達が誘った。郡川が話していると伊達が何かを思い出したのか郡川に
「そういえばもう対立はなくなったのか?」
突然切り出されたが郡川は迷うことなく答えた。
「いや、無くなったんですがまだ、九条が・・・」
「九条がどうした?」
「九条がまだ、ちょっと・・・」
郡川から伊達は経緯を聞いた。唐澤に打たれて以来、信じられないほど走りこんでいるが一般入部とは一言も話したことがない。
「大会まで残り1ヶ月を切ったぞ、早く何とかしないといろいろ問題が出てくるぞ」
「はあ、こっちも何とかしようと努力していますが・・・・・」

伊達はせかすように郡川に頼んだ。

 

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