怪物現る

 

_____________7月13日____________

前日の開会式の後、早速、試合が始まり浪速商業はいよいよ試合をむかえる。南港球場に浪速商業と相手の大阪商科短大付属高校を迎えついに試合が始まった。
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14−0で見事に浪速商業がコールド勝ち。先発・伊達は復帰後初の実践登板で一本も外野に打たれず無安打に抑え12奪三振の好投。打線も大倉さん、福山さん、大町さん、吉原さんの4連発と越川の4盗塁、悩んでいても3安打の松山と悪い結果は見当たらなかった。

____________7月16日_____________

ベンチの横のブルペンで試合よりも視線が注がれていることにも気づかずに長村は黙々と投げ込んでいる。16−0、浪速商業にとって圧倒的有利な展開で投げる必要もちろんないが長村は念のために肩を温めている。先発の伊達よりも圧倒的に速い球を投げている。しかし、登板することなく試合は終わった。この日は24安打を浴びせて4人も投手を交代させた。伊達はムービングファストを実戦ではじめて使用しその効果も思い知っただろう。

____________7月20日_____________

藤井寺球場は異様な熱気に包まれている。対戦カードは浪速商業ー摂津大学付属高校。今年の春、出場した高校と強豪、浪速商業との試合だけあって内野席は満席、外野もほとんど人で埋まっている。

「ついに・・・摂津大付属とか・・・」

「いくらなんでも3回戦からとは・・・厳しいな。長村はどう思う?」
大町さんと原田さんの後ろに長村が恐いほどの闘志に満ちて歩いている。長村に聞いた原田さんは相当、集中しているなと思ったが長村には複雑な心境があることに気づいていない。

「おーい、訊いてるんだぞ」
原田さんがもう一度言うと長村は気づき
「確かに、厳しいですね。あの鍋島と嵯峨さんが特に恐いですね」
「ああ、あいつか。確かに恐ろしそうだな。しかし、鍋島って・・・誰だっけ」
と大町さんが何気なく言うと長村は急に
「ちょっとトイレに行ってきます」
と言ってその場を離れた。

「いやぁ、懐かしいな、何年ぶりだろう」
「まったくだ。ほんと懐かしい」
山井監督と摂津大付属の大野監督は懐かしそうに話している。なにせ、14年ぶりのバッテリーの再会だ.14年前、甲子園を沸かせた浪速商業のバッテリーの大野さんと山井さんだからこそこうして相手の監督だと言うのにこうして親しく話せる。

「おっ、もうこんな時間か、じゃあ、今日はよろしく」
大野さんが立ち上がると監督も
「よろしく、よい試合であることを願うよ」
と言い握手をしてベンチに引っ込んでいった。

「「「お願いしまーすっ!」」」

空に響き渡るような声が聞こえついに試合が始まった。
浪速商業ー摂津大付属高校の試合はついに始まった。

 

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