第十四話 13年前

 

俺「どうしたら投げられるかなぁ。」
峯川「どうかしたんでっか?」
俺「あ、峯川じゃないか。」
峯川「そんなんどうでもいいです。なんかあったんでっか?」
俺「実はな・・・」
俺は峯川にあのことを相談してみた。
峯川「なるほど。なるほど。・・・なるほど。」
俺「何がなるほどなんだよ。」
峯川「い、いやぁ。別に。」
俺「その球にカワサキボールという名前をつけてみたんだよ。」
峯川「カワサキボール!?」
俺「うっ・・・やっぱりセンス無いか・・・」
峯川「い、いや、そんなこと無いと思います。」
俺「ほんとうかー?」

帰り、峯川と帰る方向が同じの俺は峯川といっしょに帰っていた。
峯川「先輩、13年前の夏の甲子園、優勝高校どこか知ってます?」
俺「やっぱり力身高校か竜王高校じゃないのか?」
峯川「それが違うんですなぁ。確かにその当時、力身も竜王も今と同じくらい強かったですけど、その時は違うんですなぁ。」
俺「えっ!どこなんだ!どこなんだ!」
峯川「ここですよ。」
俺「ここ?ああ、八方高校か。」
峯川「違います!及川高校ですがな。」
俺「・・・え?ええ!えええ!」
峯川「驚きすぎでっせ。優勝するまでは甲子園に行くまでも無く敗北していた及川高校ですけど、13年前の夏の甲子園で優勝したんですわ。その決勝が歴史に残る試合で・・・」
俺「どんな?どんな?どんな?」
峯川「決勝戦、鬼神高校(きしんこうこう)対及川高校。」
俺「その鬼神高校ってどこだ?」
峯川「よく知りまへんわ。」
俺「そうか。で、歴史に残る試合ってどんな試合なんだ?」
峯川「その試合はおよそ5日間にもおよびました。」
俺「なにぃ!?」
峯川「決勝戦1日目、延長15回の末、3対3同点。2日目、延長15回の末、4対4で同点。3日目、延長15回の末、0対0で同点。4日目、0対0で同点。5日目、延長15回、9対10で及川高校の代打逆転サヨナラ満塁ホームランで劇的な勝利を挙げました。9回までは9対6で揮真高校が有利だと思われてましたが、9回裏、ツーアウトから3者連続ヒットで満塁、そこに代打が登場。その代打はスタメンだったけどその日、肩の調子が悪くてベンチに下がったらしいですわ。ツーストライクに追い込んであと1球というところでカキーンと・・・ま、その選手の肩の調子が悪くなかったら負けてたかも・・・って所ですわ。」
俺「ふーん。すごい選手がいたもんだなぁ。」
峯川「あ、ところで先輩、そのボールを投げたとき監督、びっくりしてたんじゃないでっか?」
俺「監督以外の人もびっくりしてたけど監督もびっくりしてたよ。で、それがどうかしたのか?」
峯川「い、いや、別に。なんでもないですわ。あ、家が近いから走りますわ。それじゃ。」
峯川は走っていった。こんなことを思いながら。
峯川(カワサキボールでっか・・・)

 

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