第十九話 カワサキボールの歴史

 

スタメン発表からある程度たった6月のある日
俺「さて、練習が終わったし、帰ろうか。」
斉藤君「やばいぜ。雨降ってるわ。ま、俺はかさがあるから大丈夫だけどな。」
俺「俺も置き傘があったと思うな。」
斉藤君「それじゃ、グッバイ。」
俺「さて、俺も傘を捜して帰るか。」

俺はかさを見つけ出した。
俺「あった、あった。」
峯川「あ、先輩やないですか。」
俺「あっ・・・峯川。」
峯川「実はですねぇ〜ワイかさもってまへんのや。」
俺「あ、あ、そう。」
峯川「それで〜、先輩の傘に入れてもらいたいなぁ〜なんて・・・」
俺「やっぱりそう来たか。・・・まあいいか。入れよ。」
峯川「さっすが先輩!」

俺と峯川はいっしょのかさに入って帰っていた。
峯川「先輩、やっぱり稲垣先輩と入りたかったですか?」
俺「それはありえねえから大丈夫。」
峯川「へぇ〜。先輩、あまり稲垣先輩、タイプじゃないみたいですなぁ。」
俺「お前はタイプなのか?」
峯川「・・・まあ。そ、そんなことより、こないだ話した13年前の話の続き、聞きません?」
俺「うん。聞いてみるよ。」
峯川「それは・・・」
峯川は俺にこんなストーリー風に説明をしてくれた。

13年前及川高校

当時の及川高校のエース「ふぅ。」
当時の及川高校のキャッチャー「困っているようだな、川崎(かわさき)。」

どうやらこのエースの名前は川崎と言うらしいですわ、峯川はそう言って笑った。
俺「おい、俺と名前いっしょじゃねえか。」
峯川「ふふ、続きを聞いていてください。」

川崎「仙田(せんだ)、あのボールが出ないんだ。」

俺はその名前を聞いてびっくりした。どうやらそのときのキャッチャーは・・・
俺「えっ!それってもしかして・・・」
峯川「続きを言いますで。」

仙田「やはりな。俺もそのボールを研究していたのだが・・・ピンチのときだけ、出るのではないだろうか。」
川崎「えっ・・・そのボールって上下左右にジグザグに不規則に出る球のことだぞ?」

俺「もしかしてその球って・・・」
峯川「ま、続きを聞いてくださいって。」

仙田「そうだ。お前が入部試験で松山(まつやま)キャプテンに投げた球だ。」
川崎「な、何でそんなことがわかるんだ?」
仙田「昨日の甲子園出場校決定戦決勝であの球を投げたときも1対0、9回裏の八方高校の攻撃、2アウト1塁、4番夏川(なつかわ)、一打逆転と言う大ピンチの場面であの球を投げて見事三振にとったじゃないか。ほかにもあの球を投げたときはピンチのときだったし・・・」
川崎「そういえば・・・」
仙田「で、もうすぐ甲子園だ。甲子園じゃあ、お前のスライダーとカーブだけでは勝ち残ることは無理だろう。決定的な決め球が必要なんだ!」
川崎「で、あの球を・・・しかし、ピンチのときしか出ないのではないのか?」
仙田「だからそれと出せるようにするのだ。今から特訓だ。」
川崎「・・・わかった。やってやろうじゃないか!」

峯川「こうして、特訓につみかかったのです。」
俺「なるほど。で、どうなったんだ?」
峯川「まあまあ、続きを聞いてください。」

夜中

「ビュッ!」
「バシッ」
仙田「どうだ?コツはつかめてきたか?」
川崎「もうちょっとだ。もう一球たのむ。」
仙田「オッケーだ。」
川崎「いくぜ!」
「ビュッ!」
仙田「こ、これは!」
そのボールは上下左右にジグザグに不規則に曲がったと言う。
仙田「か、かんせいだ。」
川崎「なづけて!カワサキボールだ!」
仙田「ダサいな。」
川崎「なんだと!まあいいや。これで甲子園、勝てるぞ!」

峯川「こうして及川高校は優勝したらしいですわ。」
俺は心の中でこの話を聞いての質問がいっぱいありすぎてどれから聞いていいのかわからなかった。

 

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