第二十話 質問

 

俺「で、峯川。」
峯川「なんですか?先輩。」
俺「なんで俺と同じ名前の人が出てたんだ?あのキャッチャーの仙田とか言う人はもしかしたら仙田監督じゃないのか?川崎とか言う人が言ってたジグザグに曲がるボールって俺のカワサキボールじゃないのか?カワサキボールはどうやったら投げられたんだ?川崎って言う人は何故カワサキボールという俺がつけた名前と同じ名前をつけたんだ?どうしてホタルは死んじゃうのだ?」
峯川「ホタルは関係ないです。それは蛍の墓でっせ。」
俺「そうか。」
峯川「そうですなぁ。それではひとつずつ説明していきましょうか。まずは川崎と言う名前の人。偶然じゃないんですかいな。」
俺「なんだそれ。」
峯川「ま、必ずしも偶然じゃないかも知れまへんけどなぁ。次は仙田と言う人。お察しのとおり、その仙田と言う人は現在の仙田監督ですわ。次は・・・カワサキボールでっか。そうです。先輩が投げたカワサキボールとまったく同じですわ。これも偶然じゃないかも知れまへんけどな。次はどうやったら投げられるのか。さすがにこれは知りまへんわ。次は何故カワサキボールという名前をつけたのか・・・偶然じゃないかも知れまへんで。もしかしたら先輩はその川崎とか言う人の生まれ変わりだったとか・・・」
俺「ないんじゃないかな。」
峯川「おっと!家の近くから帰りますわ。それじゃ!」
俺「必ずしも偶然じゃないかも・・・か。」

次の日の野球部

俺は原板特訓を受けていた。今日のノルマは480回。さすがは上の中の上、一番上の位だ。
「ピピピ・・・」
原板キャプテン「終了!」
俺「はあ・・・はあ・・・疲れた・・・」
原板キャプテン「ただいまの記録は・・・513回!すごいじゃないか!上の中の上、合格だ!」
俺「はぁはぁ・・・やった!」
原板キャプテン「で、俺はトイレに行ってくる。」
「タタタ・・・」
俺「513回か・・・さすがは最高、かなりきつかった。」

原板キャプテンがトイレから帰ってきてまた俺は新記録更新にいそしんでいた。
「シャーーー」
俺「うおおおお!!!」
と、その時だった。
「バッキーン!!!」
何かが取れる音がした。俺は周りを見渡したが何も取れていない。しかし、両足に何も当たるものがないのを不思議に思い、下を見た。
俺「こ、これは!」
なんとペダルがないのだ。見回すと床に折れたペダルが転がっていた。
原板キャプテン「ペダルを・・・折った・・・か。」
俺「ずいぶんと古くなってたんですね。」
原板キャプテン「いや!」
俺「?」
原板キャプテン「ちがうさ。これは昨日届いたばかりの新品の自転車。お前の実力で折ったのさ。」
俺「ええー!」
原板キャプテン「あ、そうだ。できれば今晩の(正しくは明日ですが)午前2時、ここにきてくれないか。いや、そんなに重大なことじゃない。この原板特訓についてだ。」
俺「自転車の修理代ですか?」
原板キャプテン「心配しなくてもそんなことじゃない。とりあえず、気が向いたら来てくれ。」
俺「はい・・・」

午前2時

俺「なんだろう・・・こんな時間に。」
原板キャプテン「来てくれたようだな。」
俺「あ・・・キャプテン。」
仙田監督「あの練習をクリアしたやつとは・・・川崎のことだったのか。」
暗闇から監督が現れた。
俺「あ、監督も来てらっしゃったんですか。」
原板キャプテン「ちょっとこっちに来てくれ。」
原板キャプテンは歩き出した。

ついたところは木がたくさん植えてある公園だった。
原板キャプテン「ここに新しい自転車がある。」
原板キャプテンはピカピカの自転車のサドルをたたきながら言った。
俺「はい。それをこげと・・・」
仙田監督「そうだな。」
原板キャプテン「しかし、今のお前では自転車のサドルを壊しかねん。と、いう事でサドルは大分丈夫にしてある。しかし!その分サドルもこぎにくくなっている。」
俺「・・・」
原板キャプテン「俺がさっき試してみたら記録は826回だ。」
俺「で、今回のノルマは?」
原板キャプテン「位は特上!最低で・・・827回だ。」
俺「それって!?」
原板キャプテン「そうだ。川崎よ!俺を超えてみよ!」
仙田監督「なんだか大げさだな。原板よ。」
原板キャプテン「さあ、やってみるか?」
俺「わかりました。超えてみせます!」

原板キャプテンはいつものタイマーをセットした。
原板キャプテン「よーい・・・スタート!」
俺「うおおおおおお!!!!!」
俺は死ぬ気で自転車をこいだ。

一分後
俺「うおおおおおお!!!!!」
原板キャプテン「終了!!!」
俺は自転車から降りて地面に寝転んだ。
原板キャプテン「ただいまの記録!!!・・・1018回!!!合格だ!」
俺「やったー!!!」
原板キャプテン「おめでとう。これで俺も安心して原板練習をお前に任すことができるよ。」
俺「えっ!?それって・・・」
仙田監督「私が説明しよう。原板はこの練習の後継者をずっと探してきた。この練習なら、体力もつくし、足の力だってつくと考えたからな。」
俺「・・・」
仙田監督「しかし、半端な能力では後継できない。そこで原板は自分を超えたものにこの練習をたくそうと考えたのだ。」
俺「なるほど。」
原板キャプテン「それで・・・だ。川崎が次の世代にこの練習を後継していってほしい。どうだ?今の1年生から後継できる人を選んでこの練習を教えてやってくれ。」
俺「わかりました。後継していきます!!!」
仙田監督「そうだな。今からみんなでラーメンでも食いに行くか。」
原板キャプテン「いまどきラーメン屋は深夜でもやっているとこありますからね。」
仙田監督「ただし!割り勘な。」
俺「ええー!」
仙田監督「ウソだ。俺のおごりだって。」
原板キャプテン「あのー・・・その前にトイレに・・・」
仙田監督「行って来い。公衆トイレが近くにあるからな。」
俺「今日はたらふく食べますよ。」
仙田監督「おい!遠慮しろよ。」
こうして俺は正式な後継者になった。

 

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