第三十九話 修行2

 

俺はもう一度振り向いてみた。誰もいない・・・ん?紫の髪が見えた。もしかすると・・・
俺「おい、占。隠れても無駄だぞ。」
紫の髪は少しビクッとしたようだが、結局、占が出てきた。
占「ば、ばれたか〜」
俺「何しに来たんだよ。」
占「い、いやー。別に街で見かけた川崎君にこっそりついてきたわけじゃないから。うん。」
俺「おいおい・・・」
で、今までの一部始終を話すと、結局占も指定されたところに行くことになった。

バス放送「次は〜、八郷〜、八郷でございます。」
占「茨城着ちゃったよ。」
俺「ここだ。おりまーす。」
もうバスには俺と占しか乗ってなかった。と、言っても最初から二人だけだったようだが。

八郷

俺「えっと・・・ここから南へ30メートル・・・で、南ってどっちだ?」
占「正しくはどれだ?だね。たぶんあっちの方向じゃないのかな。」
俺「よく分かるなぁ。」
占「僕、絶対音感なんだよな。」
俺「方向と音感は関係ないと思うけど・・・」
占「気にするんじゃない!とりあえず行こう。」

俺たちは大体30メートル占の言った方向へ歩いていった。歩いている間は木と田畑と民家しか見えなかった。
占「「ビル」と呼べるものがないね。で、目的地はどこだい?」
俺「たしか「桂」ていう表札がかかったところだったような・・・」
占「あれじゃない?」
そこにはどでかい木造の家が建っていた。
俺「でっけー・・・」
占「僕んちより大きい・・・」
俺「「桂」・・・ここだな。」
そのとき門が開いた。
二階堂君「あっ!川崎さん、待ってましたよ!あれ・・・隣の方は?」
二階堂君は占を見ながら言った。
占「あ、ぼく占って言います。よろしくお願いします。」
二階堂君「お友達ですか?」
俺「あ、はい。」
占「それじゃ僕帰ります。」
二階堂君「あ、そうだ。占さんも泊まっていきませんか?僕は歓迎しますよ。」
俺「二階堂君さえよければ俺はいいよ。」
占「あ・・・それじゃ、お言葉に甘えて〜」
二階堂君「あ、後ろの木の後ろに隠れている方もどうですか?川崎さんたちと知り合いみたいですし。でも学年はひとつしたくらいですかね・・・」
占はちょっとドキッとしたようだ。
俺「おい・・・まだ誰かいるのかよ・・・」
占「そ、そんな〜。僕は知らないよ〜。」
俺「しらじらしい・・・」
そのとき木の後ろから・・・
峯川「ば、ばれてしまいましたか〜。ワイの隠れは完璧やと思ったんですけどなぁ。」
俺「峯川か。」
峯川「しゃあないですなぁ。あ、ワイは峯川って言います。よろしゅう〜」
二階堂君「峯川さんの後ろの方もどうですか?」
峯川「・・・へ?」
峯川は振り向いたが誰もいない。
俺「おい。まだ誰か連れてきたのか?」
占「い、いや、そんなはずは・・・」
峯川「だ、誰か隠れてるんでっか?」
二階堂君「いや、隠れてるも何もその人いま峯川さんの肩に手を乗せているじゃないですか。」
峯川「・・・へ?だ、誰もいない・・・?」
俺と占は一歩後進した。
俺「あ、あはははは。だ、誰もいないじゃないですかぁ〜。」
占「ほ、ほんとですよ。ははははは・・・」
俺たちは笑って見せたが顔はこわばっている。
峯川「そういえばさっきから肩の辺りに寒気が・・・」
俺と占はまた後進した。
俺「だ、誰もいませんよ。誰もいませんよ。誰もいませんよ。」
二階堂君「だってそこに白い着物を着た、首のない血だらけの女の人が・・・」
峯川と俺と占「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
俺たちは家の中にダッシュした。

あとから二階堂君が入ってきた。
峯川「もうついてないよね!もうついてないよね!!もうついてないよね!!!」
二階堂君「大丈夫ですよ。」
俺「もしかして二階堂君って霊感強いですか?」
二階堂君「ええ。昔は霊感・・・えっと・・・」
金村「少年だな。」
二階堂君「!そうでした、そうでした。最近度忘れが多くて・・・ははははは。ナイスですよ。」
俺「よう、金村。」
金村「余計なやつも二人ついてきたようだが・・・いいぜ。おっと、俺は金村。」
二階堂君「あ、僕は二階堂です。よろしくお願いします。」
峯川「えっ!あの「力身黄金バッテリー」(金村と二階堂君の二人はこう呼ばれている。かなり有名。)!?この二人に会えるなんて・・・」
占「そういえば会話の内容から来てこの「力身黄金バッテリー」と川崎君は知り合いらしいけど・・・」
金村「まあな。」
占「そういえば何で表札「桂」なんですか?」
二階堂君「いえ、とくにこれといった理由はないです。ははは。」
俺「そういえばなんでこんなとこに家があるんですか?」
二階堂君「僕の実家がここなもんですから。」
占「で、ここに川崎君は何しに来たんだい?」
俺「ま、カワサキボール誕生のために・・・ね。」
峯川「えっ!おおー。もしかしたらカワサキボールの歴史的誕生の瞬間が見られるかもしれん・・・というわけでんな。」
二階堂君「そうですね。僕もカワサキボールのことについてはかなり調べましたから。とくに図書室で見つけたこの本は重要な手がかりになると思いますよ。」
二階堂君は本棚から「甲子園の歴史」という本を取り出した。
金村「おい、図書室の貸し出し期限は1週間だぞ。」
二階堂君「心配しないでください。僕が少し借りて同じ本を探して、借りた本はちゃんと返しましたから。」
二階堂君「まずはこの本の・・・あ、峯川さん、さっきの女の人が後ろに・・・」
峯川「いやぁぁぁぁ!」

 

 

第四十話へ

及川高校物語メニューに戻る

小説メニューに戻る

ホームに戻る

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送