第六十九話 恐怖の肝試し

 

6月・・・
俺「そういえば・・・もうすぐ最終回だよね。」
占「そうだね。長かったねぇ。この・・・何年間だっけ?」
斉藤君「いや、年もいってないんじゃないのか?」
俺「そういえばそうだよね。「初書き込み」が今年の春休みだったもんね。」
占「そうか・・・今、思えば・・・いろんなことがあったね。」
斉藤君「そうだな・・・いろんなことがあったなぁ。」
俺「たとえば・・・えっと・・・な、なにがあったかなぁ!?」
占「はは、覚えてないのぉ?ほら・・・あ、あれが・・・ああなって・・・あ、あれれれれ?何があったっけ?」
斉藤君「二人とも、度忘れが過ぎるぜ。あれがあったじゃねえか・・・うーんと・・・いや、それだ、それ。えーっと・・・」
宮本コーチ「お前ら、高校生活の思い出は何もなかったんか?」
俺「あ、あるんですけどねぇ、い、いざというときに出てこないんですよ。」
占「そ、そうですよ。ねえ。」
斉藤君「あ、ああ。」
宮本コーチ「それより、みんな集合!」
みんなが集まってきた。
宮本コーチ「仙田監督の指令で、今日、夜の11時に「なかじまさん」のバス停に集合!持ち物は別に無しでいいで。」
俺「「中島さん」に集合ですか?中島さんって誰?」
宮本コーチ「ちがう。「中島さん」ではなく、「中島山」や。それでは、今日は解散!」
全員「ありがとうございました。」
「中島山」とは及川高校の裏にある山だ。結構、低い山で、頂上には墓地がある。普段は誰も近づかない。そこには、「中島山駅」というバス停がある。バス停と言っても、そのバス会社は潰れてしまったのに、今でもそのバス停は夜になると怪しく電灯が光っている・・・車も滅多に通らず、「自殺の名所」として周りの人に知られている・・・最近では、自殺した人の霊が化けて出るとか、出ないとか・・・


俺「こ、怖いな。」
俺は中島山駅に向かっていた。周りは真っ暗で、まさに何かでそうだった。と、目の前に電灯が見えた。中島山駅だ。
俺「よ、よし。走ろう。」
「たったったっ」

そこにはチームメイトたちがいた。
俺「つ、つきました。」
友子「これで6人目ですね。」
電灯には虫が集まっていた。遠くのほうを見たが、真っ暗だ。

数分後
みんなが集まった。
友子「これで全員です。」
仙田監督「そうか。では、今から、みんなにこの山の頂上の墓地に行ってきてもらう。」
俺「え、ええ!?」
占「ほ、本気ですか?」
仙田監督「墓地にはもちが置いてある。それをとって来い。この懐中電灯をもたせるから、行って来い。で、もしものことがあったらと思い、霊媒師の荻元(おぎもと)さんを呼んでいる。」
荻元さん「どうも、霊媒師の荻元です。」
俺「で、これで何が?」
仙田監督「これも「仙田特別練習」の一環だ。その名も!「肝試し練習」!」
全員(そ、そのままだ。)
荻元さん「ムゥッ!?」
荻元さんが山のほうを見て言った。
俺「ど、どうされたんですか?」
荻元さん「見えますぞ、見えますぞぉ。怨霊が・・・悪霊が・・・浮遊霊が・・・地縛霊がぁ!」
俺「ゾゾー・・・」
仙田監督「それでは、最初に誰が行く?」
斉藤君「お、俺が行ってやるぜぇ!れ、霊なんて怖くねえ!」
斉藤君は足をがくがく震えさしながら言った。
仙田監督「よし、いい覚悟だ。それでは、斉藤行け!」
斉藤君は懐中電灯を受け取ると、山に向かっていった。

数分後
「ぎやぁぁぁぁぁ!!!!!・・・・・」
山から悲鳴が聞こえた。

山から斉藤君が全速力で走ってきた。
斉藤君「に、日本が、日本がぁ!このままでは、米国に負ける!?ぎやぁぁ!?貴様ら、日本が!?日本が!?」
すると荻元さんは何かぶつぶつ言い始めた。
荻元さん「キエェェ!!!」
斉藤君「ぎゃあああ!?・・・」
「バタッ」
荻元さんが叫ぶと、斉藤君がその場に倒れた。
荻元さん「どうやら斉藤殿は戦争で戦死した兵隊の霊に取り付かれていたようですな。しかし、安心しなされ。もう霊は去りました。」
全員「・・・」
仙田監督「斉藤は練習失敗・・・と。次。」
全員「絶対行きたくない!」
仙田監督「わがままを言うな。それでは50音順に行くぞ。それでは・・・青木。」
青木「わ、分かりました。まったく、頼りになれないですね。幽霊なんて怖くないですよ。」
そういうと、青木は暗闇に消えていった。

数分後
青木が帰ってきた。
俺「お、帰ってきたぞ。」
青木「う、うへへ・・・うひゃひゃひゃひゃ!呪ってやる!呪ってやるぅ!!!みんな、みんな消えちまえぇ!!!」
荻元さん「ハッ!!!!」
青木「う、うおお・・・く、くそぉ・・・ば、ばかなぁ・・・ギ、ギエエエェェェ!!!!」
「ドサッ」
荻元さん「今度は戦前、リストラで首にされ、自ら命を絶った男の人の霊がのりうつっていたようですな。」

俺の番が来た。
仙田監督「次、川崎!」
俺「行かなきゃだめですか!?」
俺は泡を吹いて倒れているチームメイトの小田を見ながら言った。
仙田監督「もちろんだ。さ、行け。」
俺は懐中電灯を受け取ると、しぶしぶ行った。

山中
俺「ま、真っ暗だ。き、気分を変えよう。そうだ、怖いことを考えるから怖いんだ。よし・・・「知ってる?中本君の家の裏は飯屋なんだぜ。裏は飯や、うらはめしや、うらめしや、うらめしや!」って怖いし!」
「別に怖くないじゃん?」と感じる人もいるかもしれないが、この状況におかれるとかなり怖いものだ。
俺「う、歌を歌おう。「お、お化けなんてなーいさ・・・お化けなんてウソさ・・・寝ぼけた人が・・・み、見間違えたのさ・・・」」
ま、今の俺には嘘っぱちとしか思えなかった。だって、俺は実際にお化けに会って、友人になったんだから・・・
俺「だ、だめだ。説得力がない。歌を変えよう。なににしようかなぁ〜・・・」
と、前に何か白いものが見えた。懐中電灯を当ててみるとそれは・・・白い服を着た髪が長い女性が宙に浮いていた・・・
俺「ぎ、ぎやぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」
俺は死に物狂いで走った。

俺はどうやら走る方向を間違えたらしく、駅に出ようとしていたのに、墓地に来てしまった。墓が目の前に見える。
俺「ぼ、墓地だ。」
・・・とりあえず歩くことにした。・・・あれ?辺りが暗いな。
俺「・・・か、懐中電灯忘れてきたぁ!!!や、やばいよ!だ、だめだよ!」

とりあえず、いまさら引き返すことも出来ず、進んだ。
俺「も、もち・・・「もっち、もっち、もっち、もっち、おもちはぁ・・・おいしいなぁ・・・ヨモギもち・・・桜餅・・・かき餅・・・やきもち・・・ってそれは餅じゃないだろ!」」
俺は変な歌を作って、自分で自分を突っ込んだ。
俺「・・・餅・・・」
「パリン」
そのとき、どこかで何かが割れる音がした。
俺「いやあああ!!!」
俺はとりあえず走って餅をとりに行くことにした。

俺「餅はどこかなぁ・・・餅やーい・・・」
俺は返事が帰ってくるわけでもなく、言った。
?「はぁい・・・」
女性の声が・・・
俺「ぎゃあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」
俺は全力疾走した。と、そのとき何かにぶつかった。
「ゴン!」
俺「いてて・・・ん?墓石だ。あ、餅が置いてある。・・・これだな。」
「トントン」
と、そのとき誰かに肩をたたかれた。
俺「ひええええ!!!!!!」
肩をたたいた人「なんじゃね、人をお化けみたいに。これじゃから最近の若いもんは・・・」
その人はおばあさんだった。
俺「な、なんだ。生きてるんですか。と、言うことはさっき返事したのは?」
あばあさん「私だがね。私は「勿ヨネ(もちよね)」って言うもんだ。この近くに住んでる。」
俺「そ、そうなんですか。」
勿さん「なんだ、きもだめしか?ま、気をつけるんだね。」
俺「は、はい。」

俺は走って帰った。
仙田監督「お、帰ってきたな。」
俺「か、帰ってきましたよ。」
友子「あ、餅持ってるじゃん。合格ですね、監督。」
仙田監督「ああ。合格だ。」
俺「や、やったー!」

結局餅を持って帰れたのは俺だけだった。しかし、これが恐怖の始まりとなろうとは・・・

 

 

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