第14話 全快・限界・新たな目標
−全力で来い!!・・・とは、言ったものの・・・。いきなり3番からとは・・・かなりきついな・・・−
投球練習を終え、面をつけながら赤城はそう思った
−うわぁ、いきなり3番からだ・・・。たしか、あの人も小松さんからヒット打ってたよな・・・。−
<プレイ!!>
−よし、とりあえず外のカーブから入っていくか・・・。−
赤城は外角にミットを構えた
ザザッ!!
シュッ!!
−ふっ・・・。やはり高校生の投げる球というやつか・・・。さっきのピッチャーほどの球は来ないな・・・。−
キーン!!
煉矢のカーブは甘くはなかったが、無残にも初球でセンター前に運ばれてしまった
−コースは悪くなかったのにあんなに簡単に持っていかれるなんて・・・。−
−やはり、御鳥の球威では小松さんの球をきっちりはじき返したやつを抑えるのは厳しいか・・・。−
煉矢はロージンバッグを手に取り、ボールを見つめる
−やっぱり、ケガのリスクは小さくはないか・・・。甲子園の大会中の球威ならもう少しいけるんだけど・・・。−
そして、ネクストバッターズボックスにいる、神藤を見つめた
−次は神藤さんか・・・。
ピッチングばかり目立ってるけど、大学の大会でも打順こそ下位だけど、実力は4番クラス・・・。
今の俺の球で抑えることが出来るだろうか・・・。よし・・・。−
−御鳥、次もとりあえず外だ。−
赤城はミットをまた外に構えた
しかし、煉矢は首を縦には振らなかった
気になった、赤城はタイムをとり煉矢のもとへ向かった
「どうしたんだ?」
「赤城さん・・・その・・・。」
小声で、煉矢は今の自分の気持ちを赤城に伝えた
最初は戸惑っていた赤城だったが、最後には納得していた
そして、守備位置に戻った
−おそらく・・・、いや、絶対に・・・今の俺の球じゃあの人を抑えられない。
今は、交わすのでなく挑む。
その結果がどうであろうと、今挑むことは今後のために絶対に役に立つはず・・・。
今の試みが、必ず・・・。−
「おぉぉぉぉーーーー!!!!」
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「3対1で、Bチームの勝ち!!礼!!」
「したーーー!!」
煉矢たちは負けていた
神藤の打席、全力で投じた球は無常にもバックスクリーンへ運ばれた
しかし、煉矢の顔には曇りはなかった
逆に、今の力の限界がはっきりと見え、次の目標が出来ていた
「すいません、小松さんせっかくの勝ち試合を・・・。」
「気にすんな・・・。あそこで投げたストレートは無駄じゃなかったと思うで!!」
「小松さん・・・。」
チーム全員、同意見だというような顔をしていた
「小松さん。」
神藤が後から、小松に声をかけてきた
「神藤か・・・、何かようか?」
「いえ、用ってわけじゃないですが、少し話してみたいなと思いまして。」
「そうか。」
「先ほどの、挑発的な言動すいませんでした。あぁやって自分を乗せていくほうなので・・・つい・・・。」
「気にするな。勝負ってのはそういうもんだ。」
「<飛燕>想像以上に凄かったです。今の自分は、足元にも及びませんでした。」
「メジャーで限界を見た野球選手としてはもう若くない、老いぼれが最後に編み出した球だ。
そんな簡単に打たれるわけにはいかなかったからな。ハハハッ。」
「これからは、同じチームの選手同士頑張りましょうね。」
「あぁ。」
「それから、御鳥といったか?」
「あっ、はい。」
「あのときのストレートよかったぞ、また全快の時に勝負しような!!」
「えっ?」
「それじゃあ。」
そういって、神藤はその場をあとにした
「これから、一緒のチームで頑張るんですね。」
「あぁ、どうなるか分からないが、楽しくなりそうだな。」
「そうですね。」
熱戦を交えた彼らは、一度それぞれに実家に戻ることとなった
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