第20話 海外のレベル


飛行機から降りた一行は、その足で例の球場へ向かっていた

「もうすぐ着くぞ!!降りる準備しておけ!!」
「はい!!」

それぞれ、出していた飲み物やら雑誌やらをしまい始める
バスの窓から覗く景色は、ニューヨークには珍しい一面芝生の平原が広がっていた

「なんか、良い感じですよね・・・。」

やはり窓際に座っている煉矢は、頬杖をつき隣に座っている小松に言った

「まぁな。日本ではここまでの平原はもう見れないだろうな。」
「小松さんは、どちらにお住まいなんですか?」
「ん?俺か?俺は、田舎だよ。まぁ、そんなに居る時期はなかったがな・・・。」
「そ・・・」

と、煉矢が言葉を発しようとした時に、バスが止まった

「よーし、到着だ。
全員降りて、荷物を降ろし球場内のロッカールームへ向かってくれ!!」
「はい!!」

そして皆、荷物を片手にロッカールームに向かった

「結構大きな球場ですね。」
「あぁ、パッと見た限りだが両翼90mはゆうにある。おそらくセンターまでは120m近くあるだろうな。」
「早く試合してみたいなぁ・・・。」

ロッカールームで荷物を整理しながら煉矢は言う

「ほぅ・・・、神藤にまともに持っていかれたってのに、元気なやつだな・・・。」
「人間は壁を乗り越えて成長するっていうじゃないですか!!」

煉矢の目はなぜか自信に満ち溢れている・・・小松にはそのように見えていた
全員が荷物を納め、整理し終わったころに監督が現れた

「え〜、さっそくだが今からウォームアップ後に地元の野球チームと練習試合を組んでいる。
はっきり言って、この辺でのレベル言うと低い・・・。」

荷物の整理をしていたものもすでに終えていたものも手を止めて監督の話に集中していた

「いきなり試合か・・・。」

武者震いを起こすもの・・・緊張するもの・・・こぶしをグッと握り締めるもの・・・様々であった

「だが!!今のお前達のレベルが分かる絶好の機会だと思っている!!
相手を圧倒したとしても低いレベルよりは少し上というだけ・・・。
負ければ、それ以前の問題だということだ!!そういう意味でも全力で試合に向かうように!いいな!!」

監督はそう言い放った
半ば勝ちの意味をかき消すかのように・・・、半ばやる気を起こさせるかのように・・・

「はい!!」

しかし、彼らは本気だった
勝ち負けではなく、自分達の力を知るために

その場をあとにしようとした監督は、再び足を止めていった

「それと、先発は現段階で投手能力のもっとも高い者で行く!!
まぁ、数十分後には分かることだがここではあえてふせておくからな。それじゃ、しっかし調整しておけ!!」

バタン!!

そして、それぞれアップに向かった
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
パーン!!
「うっし!!なかなか。」

投手の4人はブルペンにいた
煉矢、神藤、小松、そして香取である

:香取 リトル時代の煉矢の戦友


「いい球来てますよ!!」

小松と神藤は投げ込み、香取と煉矢はそれを見ながら会話していた
小松の球は赤城が、神藤の球はたまたま手が空いていた矢原が受けていた

:矢原 練習試合で煉矢たちのチームでトップを打っていた選手

神藤のストレートはやはり威力があり、いい音を鳴らしていた
それに対し、小松は恐ろしくも正確なコントロールで、赤城のミットにボールを収めていた

「さすがに、俺らとはレベルが違うよな・・・。」
「ははっ、全くだよ。」

感心とも尊敬とも驚きともいえる感想を二人は漏らしていた

「何を言ってる、同じチームで戦うんだ。
他人に感心してる暇なんてないんじゃないのか?」

小松は二人にそういった

「まぁ、そうなんですけどね。」

煉矢は、苦笑いをしつつ返答する

「俺は、もう上がるからお前投げや。」
「あっ、はい。」


そして、そこで煉矢はまた違った投球を見せる

次へ

SECOND DREAM目次へ戻る

小説メニューに戻る

ホームに戻る

 

 

 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送